CWOの前川が綴るコラム-現場からの「協働革新」 2020年12月23日

知財保護のためのタイムスタンプ活用のすすめ

知財保護のためのタイムスタンプ活用のすすめ

知財保護というと、自社で所有する知的財産権が他人に侵害されないように保護するという原告側の対策イメージを持たれる場合が多いですが、むしろ、ある日突然、他人の知的財産権を侵害しているとして訴えを提起されるリスクに備えるという意味の方が大きいかもしれません。

自分達は他人の知的財産権を侵害するようなことはしていないので関係ないと思われる方も多いと思いますが、世の中思いも寄らないトラブルに巻き込まれるリスクというものは常にあり、ネットワークのセキュリティ対策を十分に行わなければならないのと同じように、多少面倒であっても日常の業務でリスクに備えた相応の対策をとっておく必要はあると思います。


というのも、実は我々自身も思いもよらないところから、ある日突然、知的財産権を侵害しているということで訴訟を起こされた苦い経験があるからです。実際には、いきなり訴えを提起されるというよりは、権利を主張する側からの警告状が届くところから騒動が始まることになります。

一般常識で考えて権利侵害になる訳ないじゃないか! とか、普通じゃない一体なにが目的なのだ? とか、これは一方的にぶつけられた交通事故みたいなものか? とか、第一自分たちはそんな卑怯な人間ではない! とか、社内でいろいろ憤慨してみたところで、訴訟となってしまった以上は裁判で正しく争うしか道はないのです。

勿論、裁判の結果は我々の主張が全面的に認められ、権利侵害の汚名を着せられることはなかったのですが、裁判所に提出する資料の作成など顧問弁護士の先生と共に、その対応には多くの労力と時間、お金を費やす必要がありました。


弁護士の先生にお願いするような専門的なことは別にして、我々の日常業務において、他社ではどのような対策・活動が行われているのでしょうか?

タイムスタンプを使用する目的の例
  • 公知となる技術情報の日付確保
  • 協力会社における自社・他社情報の混入防止
  • 研究開発部門での発明創出の証拠確保や先使用権の確保
タイムスタンプを付与する書類の例
  • 外部との議事録、コンセプト段階の資料、営業資料を含む外部向けの資料
  • 製品カタログや取扱説明書
  • プロジェクトの会議録、研究計画書、実験報告書、実験データ
  • 商品企画書、上市計画書、開発進捗報告書、他者のニュースリリース(無効資料)
タイムスタンプ運用の実例
  • 営業部が製品カタログを社外に公開する前にタイムスタンプを付与するようルール化
  • 各部門で作成・受領した文書から各部門の判断で知財担当部門に回してタイムスタンプを付与(判断に迷ったら付与するルール)
  • 研究開発部門で対象文書にタイムスタンプを付与し、研究開発部門と知的財産部がアクセスできるフォルダに格納

などなど…なるほどね。


確かに我々のケースにおいても、社内の技術文書や議事録にタイムスタンプが付与されていたなら、裁判資料を作成する際にも随分助かっただろうと思います。そこで早速、これらの業務をあまり力み過ぎずに確実に実践できるように「SmartDB」の機能を利用して業務プロセスを作ってみました。

1.会議の議事録を外部の会社と共有する業務フロー(タイムスタンプ機能とコラボレータ機能を使用)

※コラボレータとは、SmartDBの特定バインダに招待される社外ユーザのことを示し、社内のユーザ・組織マスターとは別に管理されます。コラボレータとして招待されたユーザは、自分が参加しているバインダ以外の情報には一切アクセスできません。

「SmartDB」を使うメリット:
たとえば、議事録をパスワード付きZIPファイルでメールに添付して送信するような方法と比較すると、情報を共有する手間を大幅に削減でき、タイムスタンプを付与して保管する手続きの抜け漏れを防ぐことができます。

2.社外に公開する情報の社内共有フロー(タイムスタンプ機能とOneDrive連携を使用)

「SmartDB」を使うメリット:
頻繁に改訂される製品カタログや取扱説明書などは、公開のプロセスを「SmartDB」に集約して常に最新版がOneDrive上に公開される状態を作ることで、タイムスタンプを付与する手続きの抜け漏れや、現場で野良資料が出回ることを防ぐことができます。


「SmartDB」のタイプスタンプ機能は、信頼高きセイコーショリューションズ株式会社様の「eviDaemon for PAdES」を採用しています。

両社のサービスロゴ

この他にも、タイムスタンプ機能を利用した具体的な業務イメージをお客さんに教えていただきながら、「SmartDB」で業務フローを再現してテンプレート化していきたいと思っています。


今回のコラムと関連する、ドリーム・アーツの「SmartDB」とセイコーソリューションズの「セイコートラストサービス」連携についてのプレスリリースを発表しています。ぜひご覧ください。

さまざまな業務の流れを簡単に電子化する「SmartDB」のワークフロー機能についてご紹介しています。プレスリリースとあわせてご覧ください。

プロフィール
前川 賢治
株式会社ドリーム・アーツ 取締役 執行役員 兼 CWO(チーフ・ワォ・オフィサー) 前川 賢治(Kenji Maekawa)
  • 大型汎用コンピュータ向けソフトウェア製品の輸入商社である株式会社アシストにおいて、製品開発を担当。 1996年にドリーム・アーツ設立に参画。
  • 本コラムでは、バブル後の大不景気を経て企業体質も健全化に向かっている現在、より現場力を高めるために「人」の「協業」をいかに支援し、革新していくべきかを考えます。