「デジタルの民主化」の世界へようこそ! 2022年4月7日

家族のコロナ騒動で気づいたデジタルのすごさ

「デジタルの民主化」の世界へようこそ! 家族のコロナ騒動で気づいたデジタルのすごさ

デジタル・アレルギーの方、ウェルカム!

みなさんこんにちは。このたび株式会社共同通信社で「デジタルの民主化」に関するコラムを書かせていただきます、株式会社ドリーム・アーツの金井優子と申します。普段は社長室という部署にてコーポレートマーケティング・広報に携わっています。どうぞよろしくお願いします。

突然ですがみなさん、「デジタル」についてどんなイメージをお持ちですか? ポジティブなイメージでしょうか? それともネガティブなイメージですか? 「なんだか難しそう」「ムリムリ。理解できない」と拒否反応を示す方。「流行(はや)りのDX?」「よくわからないけどもう少し理解したい」など、デジタルに少し興味のある方。さまざまな反応がありそうですね。

ドリーム・アーツは「デジタルの民主化」という言葉を掲げております。
「デジタル」と「民主化」…一見つながりのなさそうなこの二つの単語が合わさっていますね。
「民主化」とは憲法論では「統治者と被治者の自同性」(国家において統治するものと統治されるものが同じである)といわれています。つまり自分のことは自分で決める構造ということです。

つまり「デジタルの民主化」とは、ある特定の人だけではなく、誰もがデジタルのパワーを獲得し、自身の仕事や生活にそのパワーを自ら活用できる状態のことを指しています。

ドリーム・アーツはデジタル・ITの専門企業として世の中がより良くなるためにその一部を担いたいという思いがあり、この「デジタルの民主化」を意識的に発信しています。

このコラムでは「デジタルの民主化」をわかりやすく説明し、「デジタルにそこまで詳しくない方」でもデジタルの世界に触れることによって、ご自身のお仕事がデジタルによってもっと楽になり、さらに世界が広がる感覚をお伝えできればと思います。デジタル・アレルギーの方、ウェルカムです!

家族のコロナ騒動で日頃のデジタルの恩恵に気付く

突然ですが、先日、わが妹がコロナに感染しました。彼女はいわゆる「エッセンシャルワーカー」で、毎日が感染の危険と隣り合わせでしたが、いよいよその時がきてしまい、最終的には旦那と小さな子ども2人を巻き込み全員が感染。ワクチンのおかげか、ほぼ無症状であるにもかかわらず誰も外に出られない状態になってしまいました。

そんな中、数日妹とやり取りをしていてわかったことがひとつ! そう、彼女は「デジタル弱者」だったのです! ガーン…。
ネットスーパーを利用したことがない。銀行もリアルの窓口やATMしか使ったことがない。

ネットスーパーでの買い物が予想以上に時間がかかったため、その日のうちに食料が届かず、慌てて母親が大量の食料を買い玄関前まで届けたり、その日締め切りの銀行振り込みを私が代理で振り込んだりと、周りで助けつつなんとか妹家族全員の危機を乗り越えました。

デジタル前提の時代。私たちの生活にはネットショッピング、動画配信、銀行アプリ、配車アプリ、キャッシュレス決済など、日々デジタルの恩恵を受けています。デジタルが当たり前に生活に入り込んでおり、みなさん知らない間にデジタルに身を委ねている状態です。当たり前すぎて意識しないと忘れがちですが、私は今回の妹のコロナ騒動で「確かにデジタルがあることで快適に暮らせているんだな」と思い返しました。(代理で頼まれた振り込み作業は、手のひらの上で1分で済みましたよ!)

そして今回のことでデジタルの便利さに気づいた妹は、意識して「デジタル」を使い始めています。そう、やらざるを得ない状況ではありましたが、やってみたら「デジタルのすごさ」に気づいちゃったのです。数カ月すれば彼女も「デジタルが当たり前」の状態になるでしょう。

ビジネスシーンでいまだに無くならない「紙」

このように、日常生活ではデジタルを当たり前に使いこなしている私たちですが、ビジネスのシーンではどうでしょうか? 新型コロナウイルス流行開始からもう2年が経ちますが、いまだに紙があふれているビジネスの現場は多いようです。普段の生活では当たり前のように触れているデジタルの世界が、ビジネスのシーンになると急にアナログの世界に戻るのです。それを「なにかおかしいぞ?」と思いつつ、我慢したり諦めたりしている人が意外に多い。不思議ですね。

大企業に勤めている私の友人に聞くと、「職場は本当に紙だらけで、不便だな、おかしいなと感じつつそれに慣れてしまっているし、回っているし、変わるとなるとストレスだし、しょうがないのかな…」と思うそうです。

デジタルVS紙

先日、ドリーム・アーツ主催で「デジタルの民主化DAY」というイベントが開催されました。その際に参加者(大企業にお勤めの方々)へアンケートを取りました。「業務デジタル化に関する貴社の課題を教えてください」という質問に対する回答をご覧ください。

表:業務デジタル化に関する課題

 「紙・Excel業務が残っている」がダントツの1位でした。なかなかなくすことができないもの、それが紙なのです。紙だと探せない、紛失した、保管場所取る、テレワークできない、など、本当にしょうもないことで生産性がガタ落ち状態なので、さすがに企業は覚悟を持ってペーパーレスに取り組み始めています。

不足するIT人材、誰がやるのかペーパーレス

なぜ紙をなくすことができないのか。
理由の一つは商習慣です。高齢の方は特に「原本=紙」のような思い込みが大きいでしょう。この辺りはe-文書法や電子帳簿保存法などの法律が変わることで、企業側の意識も少しずつ変わっていくと思います。

もう一つの理由は、「誰がそれやるの」です。
御社のデジタル化はどなたが担っていますか?
ビジネスの世界では基本的に「ITの専門家」がデジタル化を担っています。社内のIT部門の方々、外部のシステム会社の方々です。しかし圧倒的にIT人材が足りていないのです。

こちらは国が公表しているIT人材の推移予想です。高位シナリオを見ると、 2030年には79万人のIT人材不足になると予想を立てています。大事なことなので2回言います。とにかくIT人材が圧倒的に足りないのです。

じゃあどうする??

「IT人材がいないなら、育てればいいじゃない。」(マリーアントワネット風)
…ITに関する専門的な育成には相当時間がかかります。

「IT人材がいないなら、業務部門の人がやればいいじゃない。」
そう!ここで「デジタルの民主化」の出番なのです!

冒頭にお伝えしたとおり、普段の生活においては何も意識せずデジタルを活用しているように、ビジネスの世界においても今は誰もがデジタルを活用できる状態にあるのです。それほどテクノロジーが進化しているということです。

具体的には「ノーコードツール」と言って、プログラムを書くことなく直感的なドラッグ&ドロップの操作…パズルやレゴブロックを組み立てるようなイメージで業務をデジタル化できるツールが世の中にはたくさん出ています。(コードとはプログラムのソースコードを表します。Noコード=コードが不要、Lowコード=少しのコードだけでOKというわけです)
このように、IT人材ではない業務部門の方でも簡単にシステムを作ることができる環境が用意されているのです。しかもそこまで高価なものでもなく、サブスクリプションですぐに試せるので使わない手はありません。技術面でも予算面でもハードルがかなり下がっています。

そして、「デジタルに詳しくない人でも簡単にシステムが作れて便利」。メリットはこれだけだと思ったら大間違いです。業務のプロが、自ら業務をデジタル化することによって得られるものがいくつもあります。

1、業務デジタル化パワーを獲得


→自らデジタル化すると、変更も自身でできるため改善のスピードがグッと上がります。世の中の激しい変化に迅速に対応できます。VUCA※時代には必須のパワー! ※Volatility・Uncertainty・Complexity・Ambiguityの頭文字を取った造語で、社会やビジネスにとって、未来の予測が難しくなる状況のことを意味します。

2、デジタル・リテラシーが上がる


→「デジタル・リテラシーが高い」とは難しいIT知識を持っていることではありません。何か新しい課題が起きた時にまずデジタル前提で考える力、「デジタルで変革できる感覚」「デジタルでコトを起こす感覚」です。

3、変革マインド・自律心が育つ


→自分の手で業務が変えられることに気付く=自律心が芽生えます。より良くしたい、新たなひらめき、仕事に対する変革マインドが育ちます。

このように、「デジタルの民主化」を実践していくと、「マインド」が変わるのです。
デジタル化=業務の効率化・スピード化だけではなく、人間の心にも大きく作用する。「デジタルの民主化」の素晴らしいところです。

紙業務そのものが悪いというよりも、何十年も前から続く業務形態を思考停止状態で何も変えず、何も新しい価値を生み出さない、そのマインド自体が良くないと思うのです。

これを読んでいる人のなかに、思考停止状態で紙の書類を扱っている方はいませんか?
その無駄な紙業務をなくしてギュッと効率化させたら、自分の時間に余裕ができますね。その時間であなたはどんな新しい価値を創造しますか? デジタル化することは「目的」ではありません、あくまで「手段」です。「デジタル化」で終わってはいけません。デジタル化した「その先」に思いを巡らせると、もっともっと人間らしく楽しく仕事ができるはずです。
そこまでを見据えての「デジタルの民主化」なのです。

デジタルの民主化実践前後

ドリーム・アーツのノーコードツール「SmartDB」を活用して「デジタルの民主化」を体現している従業員5000人規模のメーカーのお客さま。システム開発など一度もしたことのない人事部の若手社員の「デジタルの民主化」体現の軌跡をご紹介しましょう。

「私たちにとって紙業務は以前からやっていた仕事ですし、“それが当たり前”と思っていました。ただ、世の中ITを活用した効率化の流れがあり、人事部門の業務ももっと効率化したいという思いは持っていました」

やはり、皆さん最初は目の前の紙業務を「当たり前」と思っている思考停止の状態なのかもしれません。しかし、デジタル化の流れが来ている今だからこそ「あれ?これおかしいぞ?」と気付きます。

そして、皆さんが実際にノーコードツールで開発してみた感想がこちらです。

「実際に開発してみて、デジタル化は情報システム部だけが手掛けるものではないと感じました。ツールに慣れれば、自分たちでもある程度の開発ができることがわかりました」

やれば!できる!できてしまう!この時点で彼女たちは自信という武器を手に入れました。
そして、自分の業務をデジタル化することに慣れてくると、このようにマインドが変わってくるのです。

「システムを一からつくることで改めて業務を振り返ることにつながり、より業務を効率化できないかを考えるようになりました」

ここまでくると、自律的に自身の仕事を考える変革マインドが育っており、新たなひらめき=新しい価値を創造できる段階になります。
そして、、、

「業務をデジタル化することで、自分たちが便利になっただけではなく、他本部から“すごく便利になった”“書類業務の面倒なところが解消された”と言ってもらうことができました。システムを作ると、必ず他本部から反応があります。改善のアイデアをもらうことも。今までなかったやり取りが生まれており、役に立っていることも実感できてやりがいを感じます」

社内の業務プロセスが改善・進化するその過程には、とても人間らしいコミュニケーションがベースにあるのです。他部門間の壁がなくなり、新たな協創が生まれていることを感じました。
この変革マインドを一人だけではなく、全社に行き渡ると本当の意味で「デジタルの民主化」を組織で体現し、組織全体がトランスフォーメーションを始めます。
「デジタルの民主化」の世界、少しでも理解していただけたでしょうか?

さて、次回は「大企業のITベンダー依存問題」についてお伝えしようと思います。
冒頭に「デジタルはある特定の人のものだった」とお伝えしましたが、その「特定の人」として存在が大きいのが「ITベンダー」や「システムインテグレーター」と呼ばれるシステム屋さんです。
官公庁の縦割りシステム、みずほ銀行のシステム問題など、大手のITベンダーが絡む大きな社会問題に発展しています。その辺りを深堀りしていきたいと思います。お楽しみに!

(株)共同通信社 b.(ビードット)より転載
※本記事は、2022/4/1時点で共同通信社の外部メディアに公開された記事を、許可を得て転載しています。

前回の連載:デジタル化/DXコラムはこちら

プロフィール
金井 優子
株式会社ドリーム・アーツ 社長室 コーポレートマーケティンググループ ゼネラルマネージャー 金井 優子(かない ゆうこ)

大手SIer出身。データ分析・活用をきっかけにシステムエンジニアからマーケティングに職種をチェンジ。現在はコーポレートマーケティング業務で自社のブランディング確立に奮闘中。

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