DX/デジタル化調査「 ITベンダー依存」の裏話 2022年2月15日

第2回:知名度重視のズブズブ群「ITベンダーの選定基準」編企業によって明暗!DX/デジタル化を阻むITベンダーとのズブズブ甘い蜜の関係

ITベンダー依存の裏話 第2回:知名度重視のズブズブ群「ITベンダーの選定基準」編

Introduction

みなさんこんにちは。DX/デジタル化調査メンバーの金井です。

2021年11月発表の調査レポート「ITベンダー依存の裏話」第2回。
前回は、なぜITベンダーであるドリーム・アーツがこの調査を実施したのかという想いと、ITベンダーと付き合う上で「得したこと」について書きました。ズブズブ群の依存度合いには驚きましたね。二度見するデータもありました。

さて、今回は「ITベンダーの選定基準」についてお話しします。
みなさんはITベンダーを選定する際、どんなところを重視して選んでいますか?

1:あなたの会社が重視するのは、知名度?それとも変革伴走?

いきなりズバリの調査結果からお見せしましょう。
ITベンダーを選定する際にユーザー企業は何を重視するか?その選定基準について聞いてみました。
前回ご紹介した6つの群に分けて分析してみると、選定基準に大きな差が見られました。

【表1:ITベンダーの選定基準について】

表1:ITベンダーの選定基準について

まず、ズブズブ群(同一ベンダー長期契約・新規ベンダー0・ベンダー変更皆無・ベンダーが9割以上実務担う)が一番重要視していたのは「世界的に有名なベンダーと契約すれば安心だ」でした。
なんと9割の人が「はい」と回答。対して内製&デジ民群は4割弱でした。
世界的に有名なベンダー…すぐに思い浮かびますね。

実は、同じような選択肢「国内の大手ベンダーと契約すれば安心だ」も相当多いのではないかと予想していたのですが、意外にもズブズブ群の5割程度でした。(それでも多いですが)国内大手ITベンダーに機器も技術も人手もロックインされている大企業の依存脱却の意思が少しだけ読み取れます。
先日お話を伺った某メーカーのIT戦略部の方にお聞きしたところ、「国内大手ベンダーと長年付き合ってきたが、とにかく見積りが高い、開発期間が長くて変革が進まず頭を抱えている。そろそろ契約更新をしない方向で考えなければならない」とおっしゃっていました。このようにベンダー依存からの脱却に動き出そうとしている企業は少なくありません。

とは言え、世界的に有名ならそれでOKなのでしょうか?知名度が最優先事項にあがるということは「思考停止」に陥っている証拠です。ITベンダー側はそれを見抜いています。「この人なにもわかっていないな」「言われたことさえやれば新しい提案などせずとも長く契約してくれそうだな」。…そう!良い「カモ」なのです。

逆に内製&デジ民群においては、知名度に関する優先度はかなり低く、「DXを含めた提案」と「最新デジタル技術に関する知見の共有や提案」が、重要視していた選定基準でした。これらの項目は「変革に伴走してくれるベンダー」を求めていると読み取れます。提案もなしに、言ったことをそのままやってくれるだけのITベンダーだったらわざわざ外注せず変化に即対応できるように内製化するよ、ということもあるかもしれません。

ITベンダーの選定基準について

また、内製&デジ民群がズブズブ群と比較して高かった項目に「小規模なベンダーでも優秀なスタッフがいたり、ソリューションが魅力的であれば直接契約すべき」というものがありました。
単に知名度で選ばず、中身をしっかりと比較検討して、良い意味で真に頼れるパートナーを選ぶ姿勢が読み取れます。

このITベンダーの選定基準は、前回のポジティブorネガティブの頼り方に直結しますね。ズブズブ群は、全て丸投げできるような人に頼りたくて、知名度があれば間違い無いだろうという思い込み、思考停止でベンダーを選定する。内製群・デジ民群は、生き残るために変革が必要と認識しており、専門的知見やトランスフォーメーションに必要な第三者目線や新しい発想を求め、変革に伴走してくれそうなITベンダーを試行錯誤しながら選定する。

これをお読みの皆さんはどちらの考え方に近いですか?

2:ITベンダーのポートフォリオを見直そう!

さて、一度ITベンダーを選定したら、その後「変更」はしないのか?!という純粋な疑問があります。
みなさんは主要ベンダーとどのくらいお付き合いがありますか?
10年?20年? 実はレポートには未掲載のデータですが、「直接取引のあるSIerとのお付き合い期間」を聞いたところ、10年以上が25%、20年以上はなんと20%いらっしゃいました。
先日インタビューした某メーカーさんは40年でした。長い!と思いましたが、珍しいことではなさそうですね。
私自身は大手SIer出身ですが、自部署の部長はもう何十年お付き合いがあるお客さまと本当に親密に接していた記憶があります。事業会社にはそれぞれの「お気に入りベンダー」なるものがあり、それを変更させるのは至難の技です。最近はデジタルトランスフォーメーション(DX)によりIT人材の流動が激しいですが、外部からIT人材を引っ張ってくると、その人材のお気に入りベンダーがセットで付いてくることもあり、元々牛耳っていたITベンダーとの間に一悶着起きることもあるようですね。大企業は多額のIT予算(特に今はDXバブル!)を持っていることもあり、ドロドロの世界なのです。

下の表は「主要ベンダーの変更」について聞いたものです。結構驚く数字です。

【表2:主要ベンダーの変更について】

主要ベンダーの変更について

主要ベンダーを変更したことがない人は8割!ほとんど変更なし!各項目からさまざまな思いが読み取れますが「変えるという発想をしたことがない」が11.3%いました。
一度付き合いを始めると、何か大きな問題が起こらない限り、お付き合いは継続するでしょう。ましては基幹システムの開発、ハードウェア、常駐エンジニア、諸々を変更することは相当なエネルギーとお金も使うことになるでしょう。変更することが良いこと…というわけではありません。
ですが、前の選定基準の項でも書きましたが、とにかく「思考停止」が一番危険です。たまに振り返ってみてくださいね。

この変革が求められる時代、新たな風を意識的に入れ込むことでデジタルトランスフォーメーション(DX)が進むことがあります。
ベンダーを変更したことはなくても、新しいITベンダーとお付き合いを開始している方もいることがわかりました。以下の表は新しいITベンダー(SIer)と取り引きが始まった理由です。

【表3:新しいSIerとの取り引きが始まった理由】

新しいSIerとの取り引きが始まった理由

結果は、1位:新しいサービスを入れたのと同時に切り替えた 46.2%、2位:自社の変革のためのパートナーになってくれそうだと思った 41.3%、でした。良いサービスであることはもちろん、「変革パートナー」であることも期待して、意識的に新しい知見を取り入れようとしていることが伺えます。
今お付き合いしているITベンダーは何社ありますか?今までのお付き合いは保ちつつも、ベンダーポートフォリオを少し変更することで、変革の道に一歩近づくかもしれません。ベンダーポートフォリオを見直してみましょう。

ITベンダーポートフォリオを見直そう

3:ITベンダーも多種多様。選択の幅はとにかく広い!

今更ですが、「ITベンダー」と聞いたら具体的にどの企業が思い浮かびますか?

官公庁や大手企業に強い大手のSIer、商社やメーカーなどのSI子会社が独立した中堅SIer、今やDXで花形のITコンサル型SI会社、旧プラットフォーマー、新プラットフォーマー、そしてSaaSメーカーなど、、、
「ITベンダー」と一言で言い表すのが乱暴なほど、世の中にはさまざまなタイプのITベンダーが存在します。

最初の項に出てきた「世界的に有名なベンダー」や「国内の大手ITベンダー」って一体どこだろうと思いましたら、ぜひこちらをご覧ください。ITベンダーを面白おかしく図解で表しています。御社がお付き合いしているITベンダーが1、2社は含まれていると予想します。
これを見ながら上記の調査結果をみると、また色々なものが見えてきて面白いですよ。

■ダイヤモンドオンライン
「ダメITベンダー」の見分け方、DX時代に付き合ってはいけない取引先の特徴【32社9タイプ別生態図鑑】
https://diamond.jp/articles/-/283460

(弊社ドリーム・アーツはおそらく【日系ソフト会社】にカテゴライズされるでしょう)

今回はITベンダーの選定基準についてお話をしましたが、このようにITベンダーは星の数ほどあります。
企業側も世の中にどのようなサービスやプロダクトが日々生まれ、磨かれているのかアンテナを張ることが大事です。実際に調査をしてみると「こんなすごい技術がすでにサービス化されていたのか」や、「新しいコンセプトのベンダーだな」など、発見があります。そして気になったらまずは話を聞いてみる。まずはアクションです。そして、意識的に新しいベンダーと付き合うことで変革に近づくことができるでしょう。
ITベンダー側としても、特定の依存先とズブズブで食いっぱぐれなかった時代から、今は戦国時代に突入しています。ITベンダー自体がトランスフォーメーションしなければ生き残れませんし、選定もしてもらえませんので、日々その技術やサービスを磨いています。

ドリーム・アーツはミッションである「協創」を核として「自律」「変革」「デジタルの民主化」を推進しているITベンダーです。
やはり最近は特に「変革してくれそうだから」という理由で弊社を選定いただくことが多いです。
「変革しなければ沈む」と、かなりの覚悟を持ってITベンダー選定をされている経営層の方もいらっしゃいます。思考停止のITベンダー選定はもう終わりにしましょう。

ITベンダー依存裏話。次回は【内製化に踏み出す企業。依存はしているが「自律」したい本音編】です。お楽しみに。

大企業の“ヤバい”ITベンダー依存の実態

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DX推進の際にパートナーとなるITベンダーに焦点を当て、大企業の「ITシステム決裁者」1,000名を対象に、「ベンダー依存」に関する調査を実施した。大企業がITベンダーとDXを推進する際の重要ポイントを探る。

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プロフィール
金井 優子
株式会社ドリーム・アーツ 社長室 コーポレートマーケティンググループ ゼネラルマネージャー 金井 優子(かない ゆうこ)

大手SIer出身。データ分析・活用をきっかけにシステムエンジニアからマーケティングに職種をチェンジ。現在はコーポレートマーケティング業務で自社のブランディング確立に奮闘中。