2016年6月28日
広島R&Dセンター長コラム

第1回企業が取り組むべき地方創生のあり方

現職の大統領として初めての訪問で話題になった広島ですが、地方創生という論点では長期的な視点での取り組みが必要だと感じています。特にIT産業における人材獲得という点ではさまざまな課題を抱えており、国や県などの地方自治体も企業の誘致を後押しするための施策を打っています。

ドリーム・アーツでは「広島R&Dセンター」として現在の広島拠点を拡大していく方針を公表し、県などともタイアップして計画を進めています。ここでは企業が取り組むべき地方創生のあり方について考えてみたいと思います。

なぜ開発拠点を広島に

ドリーム・アーツでは3月1日付で広島R&Dセンターを設立し、今後3年間で100名体制としていく方針を公表しています。その骨子は次の3つです。一つは東京以外の地方でも展開可能なソフトウェア工場を構築すること。二つ目は、新たなビジネスシーズを発掘できる産官学連携の研究拠点としていくこと。最後は東京被災時にも広島中心に事業が継続できるようにすること、となります。

特に東日本大震災以降、東京一極集中になってしまっている経済活動を大災害にも強い構造としていくために地方分散をどのように進めていくかは大きな課題です。ドリーム・アーツとしてもお客様の期待に継続的に応えていくために、東京 恵比寿のオフィスが被災した際にも事業が継続できる仕組みを構築していく方針です。

また、ものづくりの集積拠点という意味でも優れているのではないでしょうか。 広島県は、瀬戸内海の海運や山陽道などの街道があるため、商業が盛んな地域といえます。太平洋戦争までは海軍・陸軍の主要拠点として呉市には大きな工場がありましたし、造船の町としても知られています。こうして古くから製造業において職人の技術が継承されてきました。現在は、大手自動車メーカーのマツダも広島に本社を置くなど、工業地域として盛んです。アクセスも中国の大連や沖縄への直行便が出ているのをご存知ですか?「ものづくり」においては非常に歴史が深く、だからこそ広島は、「IT」のものづくりの技術を集約するにふさわしい土地ともいえるでしょう。

現在、福岡県がITを活用した地方創生に積極的に取り組んでいますが、「BtoC」と言われる一般消費者向けのIT企業が多く、「BtoB」企業向けビジネスのIT事業はまだまだ少ないようです。そこで広島がビジネス向けITを活用した地方創生のモデルになるよう、我が社が先行事例となることで類似の人材の流れが増え、結果として広島がIT人材の集積拠点になることを願って取組みを進めております。

事業継続の観点からみた広島

事業継続の観点では単にサーバなどのIT機器やネットワークが継続的に利用できる環境を構築するだけでは不十分です。クラウド時代となった現在では、いわゆるディザスターリカバリー(DR)と呼ばれるIT機能のバックアップの仕組みを構築するのは非常に簡単になっています。

しかし、事業継続で本当に必要とされるのは、業務の流れを仕組み化するとともに、被災時にも必要なスキルを持った人がしっかり確保できるかという人的側面でのバックアップ体制です。したがって、事業継続を進めていくには単に地震や台風などに強いというだけではなく、必要なスキルをもつ人材を集めやすいかという観点も重要となってきます。

広島県のITエンジニアの満足度、ワースト5位

瀬戸内に位置する中国地方は地震や台風が少なく損害保険料率でも一等地となっており、日本では比較的安全といわれる地域となります。また、ものづくりに秀でた世界的企業を有する広島は経済活動も活発で豊富な人材を抱え、人材確保という観点では期待の持てる都市です。

しかしIT産業に絞ると、待遇面の問題や先進的な技術に触れる仕事がないなど、ITエンジニアの満足度がワースト5位と非常に低い都市でもあります。そのため優秀なITエンジニアが首都圏や関西圏に流出することで人材不足になってしまい、結果として面白い仕事を作り出せないという悪循環に陥っています。


ITエンジニア4300人に聞いた勤務地別「満足度ランキング」

【参考ページ:リクナビNEXT 満足度が高い県は?勤務地別エンジニア年収ランキング】

広島大学をはじめとする優良な教育機関を抱える広島ですが、どのように優秀なIT人材を県内に引き留めていくか、が大きな課題の一つとなっています。

今後にむけて

1つの産業を育てていくには長期的な取り組みが必要です。特に人材面では、 育成の観点、就労の観点、人材流通の観点などさまざまな施策が求められます。また、さまざまなライフステージに応じた人材をどのように活かしていくかも重要なポイントです。事業継続やシーズ発掘などきっかけはともかくとして、企業が地方に進出し魅力的な職場を作っていくことは非常に効果的な地方創生策であるとともに、企業にとっても優秀な人材を獲得しやすい環境づくりとなります。

ドリーム・アーツとしては、地方とWin-Winな関係が構築できるはずとの信念のもと、地方創生策として国や県が打ち出す施策となどとも協創し事業を進めていきたいと考えています。

プロフィール
  • 株式会社ドリーム・アーツ
  • 広島R&Dセンター長
吉村 厚司
株式会社ドリーム・アーツ
  • 1987年、大阪大学大学院理学専攻科(前期課程)を修了後、野村コンピュータシステム株式会社(現株式会社野村総合研究所)に入社。インターネット事業部長、新プロジェクト推進室長などを経て、2006年3月にドリーム・アーツ入社。