Designers コラム 2022年8月5日

オフィスに”落書き”して褒められた!?チョークアートの技法と効果をまるっとご紹介

オフィスに”落書き”して褒められた!?チョークアートの技法と効果をまるっとご紹介

※本記事は、noteに連載している「ドリーム・アーツ Designers」からの転載となります。

こんにちは、マトンカレーに淡い想いを寄せるデザイナーHです。

先日、東京にあるドリーム・アーツのオフィスがリニューアルしました!
リモートワークがほとんどになったこともあって、座席を減らして空間を広々と使った職場になりました。
木の素材・カラフルなクッションが散りばめられた内装や、自由で眺めのいい場所へのデスク配置、パリ在住の作家の方によるアート作品などもあり、以前よりも有機的な環境で働けるようになっています。

オフィスリニューアルに際し、我々デザイナーにもひとつの大きなミッションが与えられました。
それはなんと……

「オフィスを飾るチョークアートを制作してほしい」!

ドリーム・アーツには黒板塗装のされた柱が並んでおり、改装前にも各拠点などいくつかのテーマでチョークアートが描かれていました。
それをオフィスと合わせて刷新しようということになり、内製で取り組むことになった……というわけです。

まずは、Twitterに先行公開した、出来上がったチョークアートをご紹介します!

歩いていてまず最初に目に飛び込んでくるのは、インパクトの強い浮世絵とDA Valuesと呼ばれる会社の価値観を組み合わせた画面。
その背面側、振り返りながらじっくりご覧いただく側に「デジタルの民主化」や「WAO!」などドリーム・アーツのキーワードから6つを選んでレタリングしたおしゃれな画面を作っています。
社長へ直々に「お客さまはどこから入ってどのようにオフィスで過ごしますか?」と確認させてもらい、オフィス内の動線を意識して画面の配置を考えました。

■制作ボリューム/効果と反応

今回の制作にかかった時間や実際どんな反応をいただいたかを簡単にご紹介します。

まずは、制作ボリュームについて。
期間としては累計10営業日、柱の面としては12面、12種類の絵を描き上げました。
学生時代には受験や課題でいろいろな画材に触れてきたメンバーが多い一方で、チョークアートの制作経験者はおらず、何もかも作りながら掴んでいくことになり、試行錯誤の連続でした。

しかし苦難を乗り越えて完成させたチョークアートは、お披露目直後から社内のあちこちで大好評!
新オフィスになってから少しずつ来客の機会も増え始め、お客さまにも感嘆の声をいただくなど、ありがたいリアクションが方々から届いています。
社長からもそれらを包括して「期待の300%の結果」と言っていただき、メンバーは内心ほっとしたものです。
ドリーム・アーツのバリューでもある「やり抜く忍耐と勇気」や「挑戦と変革」みたいな部分を体現できたのでは……と自負しております

手描きのアートというのはやはり迫力がありますし、それが自社デザイナーのお手製だなんていったら、少々手前味噌ですが、インパクトもひとしおですよね。
実業務に臨む時の全力さや学びながら進む向上心みたいなものもアートから伝わればいいなと思います。

□画材と技法の紹介

さて、もしかしたらこの記事を読んで「自分でも・自社でもチョークアートをやってみたい!」と思った方もいるかもしれません。
柱や壁、もちろん量販店で手に入る黒板ボードでもチョークアートに挑戦することはできますので、ぜひチャレンジしてみてほしいです。
というわけで今回、何もかもが初心者だったドリーム・アーツデザイナーが制作してみて楽しかった画材や技法、便利だったアイテムをまとめてご紹介します!

□チョーク

画像引用:モノタロウ(https://www.monotaro.com/p/2412/7267/

いわゆるポピュラーな白墨、親しみ深い「学校のチョーク」です。
石膏や貝殻、卵殻などからできており、木炭やドライパステルと同じ粉末の描き味を持っています。
私たちは今回、この画材について2種類の使い方をしました。

普通に描き、こすってぼかす

チョークアートの最も標準的な描き方と言えるのではないでしょうか。
細かい粉として画面に乗るので定着力が高くなく、優しくこすればのびますし、強めにこすればぬぐえます。柔らかい光の表現などに用いました。

粉を水に溶いて絵具状にする

チョークをやすりで粉にして少量の水で溶くと、見事に絵具のように使うことができます。これはメンバーの事前調査で発見した技法でした。
広範囲のベタ塗りはムラになりやすく、かなり力加減が難しいですが、しっかりと隙間なく発色し、ぼやけないはっきりした線を描くのに向いています。スパッタリングや筆跡を活かした表現など、絵具でできるようなマチエール効果は大抵使うことができます。
もちろん元がチョークなので、乾いてからこすればぼかすこともふき取ることも可能です。

□チョークパステル

画像引用:モノタロウ(https://www.monotaro.com/p/2380/8883/

2018年に新しく発売された画期的な画材です。クレヨンに近いオイリーな描き味をしていますが、チョークのように水でふいて落とすことができるのが特徴です。
色数が12~24色と豊富で、混色してもかなりあざやかな発色を維持できるので、豊かな画面作りに役立ちました。濡れ布巾で叩くようにするとぼかし表現も追求できます。 かなり人気なのでしょう、東急ハンズ渋谷店では単品でも販売されていました。

特徴的だったのは、チョークパステルの黒が黒板の色よりもさらに濃いため、黒板よりも1段階暗い影を表現できたことです。

特に一般的な黒板アートでは、最大の暗い色は絶対黒板の地なので、そこから逆算して光を乗せていく=「白いものを描いていく」ことになると思います。
チョークパステルの黒色や、紺色に茶色を活用することで、普通の黒板アートよりも深みのある画面作りができるでしょう。

また、何度もチョークパステルを重ねてしまい色素の沈着してしまった箇所などは、綿棒や布巾で消そうとしてもうまく消えない場合があります。
そんな時に黒のチョークパステルを薄くぼかして広げつつ載せると、元のまっさらな黒板のような色に戻ってくれるのもありがたかったです。

□プロジェクター

大きな壁面への描画だったため、PC上に用意した下絵をプロジェクターで投影してトレースすることで効率よく画面を作れました。自社にプロジェクターのある方はぜひご活用をおすすめします。
ちなみに、普段ドリーム・アーツではセキュリティの観点から操作していないPCはすぐにスリープモードになります。ですが今回のような「使用しているが操作しない」特別な状況では、作業中PC画面をつけっぱなしにしておく必要がありました。

これについて悩んでいたところ、後輩デザイナーが「プロジェクターでPC本体画面をそのまま投影する『ミラーリング設定』ではなくPCの外付けディスプレイのように『拡張設定』にして下絵を投影し、 本体画面ではYoutubeの長時間配信(街頭や自然を映したライブカメラなど)を流しておく」という応急の小技を教えてくれました。かなり助かりました。

□綿棒

一般的な綿棒とプラモデル用の極細綿棒を用意しましたが、今回は一般的な綿棒の方が汎用性がありました。
極細綿棒は微調整のほか、塗って層にしたチョークパステルをひっかいてスクラッチ技法のように黒い地の色を出すのにも使いました。

チョークパステルは粘度が高いため、定規を当てても色が崩れませんでした!

□筆

粉チョークと相性のいい道具です。チョークで作った絵具を塗布する用途だけでなく、粉チョークで塗った範囲を叩いたり撫でるなどしてぼかしを作るのにも便利でした。
大きめのものから細かいものまであると便利です。今回は平筆の方が多岐に渡って貢献してくれました。

□布巾

画面を綺麗にするのには欠かせないアイテムです。水を含ませて大きくふき取ったり、細かくふき取って境界を綺麗に出したりと汎用的に使いました。粉をぬぐった布巾はよく洗っても画面に粉の跡を残してしまうことがあるため、描画と清掃に合計10枚ほど使用しました。

チョークパステルを布巾に塗りたくってポンポンと画面を叩くと、テクスチャを出したりグラデーションをなじませるなんてこともできます

□ねり消し

「チョークは粉っぽい素材で木炭に近いので、ねり消しが有効なのでは」という意見がデザイナーから出てきたので、これぞインハウスデザイナー寄れば文殊の知恵!とすぐさま購入しました。

これがなかなか正解で、潰して細くしたねり消しは線のキワを出す作業や細かい部分の抜きにぴったり。あと、ぼかし作りで汚れた手指を綺麗にするのにも役立ってくれました。

■チョークアート、そこのあなたも!

チョークアートは一見途方もないチャレンジに思えましたが、実際にやってみたらかなり自由で初心者でも取り組みやすく、何より童心に帰ったような楽しさがありました。
また、自社で内製したものとして実行力や表現力を視覚的に伝えることで社内外にポジティブなメッセージを発信する効果も見込まれるため、企業がチョークアートにチャレンジする価値というのも大いにあると言えるでしょう。

色とりどりのチョークアートによって、オフィスにきた方にワクワクした気持ちになってもらえたらうれしいです★

プロフィール
株式会社ドリーム・アーツ UXPG(UX Promotion Group)のデザイナーたち

株式会社ドリーム・アーツ

  • 2020年から「note」において「ドリーム・アーツ Designers」のタイトルで隔週で、ドリーム・アーツのデザイナーのお仕事にまつわる記事を発信しています!

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