2016年6月28日

現場探訪 第4回:人手不足の今、属人的な業務を改革する|コンサルタントの眼

お久しぶりです。いかがお過ごしでしょうか。
ドリーム・アーツのサイト刷新を機にコラムを再開しました。
皆さまのところではこのような課題はありませんか?

組織が拡大し機能分化した結果
対応が形式化し顧客の期待に応えられていない
次々と新しい試みは行うものの
業務は属人的なままで煩雑になる一方である
システム導入・更改でありながら
【Something Good】を求められている

このような課題がありましたら今回のコラムは多少なりとも参考になるかと思います。

では今回の訪問現場をご紹介いたしましょう。こちらは新宿のあるお客さまです。名前を言えば皆さまご存知の歴史ある会社様です。
現在、業務改革を進めている最中ですが、縁あって我々ドリーム・アーツがそのお手伝いをさせていただいています。

改革というとJ. P. Kotter 氏の“8つのステップ”が有名ですね。

  • 1. Establishing a Sense of Urgency
  • 2. Forming a Powerful Guiding Coalition
  • 3. Creating a Vision
  • 4. Communicating the Vision
  • 5. Empowering Others to Act on the Vision
  • 6. Planning for and Creating Short-Term Wins
  • 7. Consolidating Improvement and Producing Still More Change
  • 8. Institutionalizing New Approach

(“Leading Change: Why Transformation Efforts Fail” by John P. Kotter, Harvard Business Review March-April 1995)

ドリーム・アーツがお手伝いさせていただくシーンは概ね “4. Communicating Vision” からが中心となります。
今回のお話しも、Communicating Vision がテーマとなっています。

こちらのお客さまでは事業が急拡大しベテランの方々がさばくべき業務が瞬く間に拡大、各現場での機動的な対応を優先した結果、一部業務が属人化してしまったことが問題となっています。そこでベテラン社員の方々のノウハウが活用できる今のうちに“標準化”を進める事になりました。

3年後の2019年はこの年に就職する大卒人口が急減します(前年比 -3.4%)。採用側の実感としては、その何倍のインパクトかになると思います。同様のことは2009年(-3.8%)、1999年付近(-4%から-5%)にも起きており、1999年に比較し2019年では大卒人口が33%も減少します。現在ですら人手不足、忙しい状況ですが人材問題は恒常化しています。

現場での工夫、がんばりも限界がありますから、より高い視点で考え方を変える必要があります。これまでも主婦
子育て世代の在宅ワーク、すき間時間活用は唱えられてきましたが、今後は人手でやることを絞り込む、というパラダイムに変わる予感がしています。

業務の標準化…人手でやるべきことを絞り込む

その流れにつながると考えられるのが、このお客さまの業務改革で議論されている “標準化”です。例えば上席者に見てもらう報告書を起こす場合、しっかりした構成を考え、表現にも気を配り、体裁にも注意しなければなりません。また社内であってもメールの文章表現には注意しますね。これに意外に時間を取っています。今後はそのような手間のかかることは思い切って止めてしまいます。

例えば、定例会議で使用されてきた体裁の整った報告書を廃止、案件情報や課題事項を文書DBから直接参照することで済ませてしまいます。文書DBであれば、表現や体裁に気を使う必要はありません。事実を簡潔に書き込むだけです。

また文書DBの便利なところは、サマリでも詳細でもその場で見たい切り口に切り替えられることです。なので従来よりもレビューやTO DO検討により多くの時間を使うことができます。“これではしっかりした報告書を書けなくなる。ビジネスマンとしての文章力が鍛えられない。”というベテランの方々からの指摘はその通りです。別途そういった能力を鍛える機会、特に対顧客という場面でそういった機会を残す、ないしこれまで以上に時間を掛けるようにします。

こういったことをひとつひとつ積み重ね、すなわち人手でなにを行うか、という考え方が、なにを看板柱とするか、という各企業の提供価値の違いに反映されてくるのではないでしょうか。今はおしなべて似たような商品ライン、サービスカテゴリーだったとしても、人材の制約条件により、今後は各企業の個性がよりはっきりと表われてくるのではないかと思います。競合と言えども状況は同様ですから、これはこれでチャンスになりえるものかもしれません。

改革の要は「コミュニケーションをデザインする」こと

さて改革ですが、新しい考え方、仕事のやり方の推進にはエネルギーが必要です。新しい“やり方”を展開していく上では、さまざまな対応、多くは社内コミュニケーションが必要です。“4. Communicating Vision” は、経営とミドルマネージャー、ミドルマネージャーとスタッフ、スタッフとスタッフ、自部門と他部門などさまざまなレイヤーでのコミュニケーションが急増します。人対人というもっとも貴重な現実のコミュニケーションを補完する仕組としてPortalを用いることができます。

ただし我々が重要ポイントとしているのはPortalそのものよりも、むしろその与件となる組織コミュニケーション設計です。また、“5. Empowering Others to Act on the Vision” のステップに着実に移行するためには、改革の進捗をステップ・バイ・ステップで効果的にサポートするためのコンテンツ運用計画が成功の重要ポイントとなってきます。

今日もお客さまと有意義なディスカッションができました。また皆さまのところにお邪魔させていただきます。

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