2015年6月30日
改革の匠

タブレット導入成功の秘訣なぜスマートデバイス導入は難しいか?

企業でのスマートデバイス導入はなぜ困難なのか。失敗から導かれた成功パターンもあるのです。

ITツールの影響範囲は格段に広まっています。以前のITツールの代表はパソコンであり、ノートブックもデスクトップも主な利用シーンは椅子に座って作業をする社内デスクワークがほとんどでした。PCで行われる作業は、もともと紙でやりとりしていたことを電子化したものが多く、ソフトウェアのデザインや操作感などは、社内の情報システム部が想像し仕様を具体化できる範囲でした。もし使い勝手が多少悪くても、ユーザーにマニュアルを配布して習得してもらうことが当たり前になっていました。

さて、今やスマートデバイスの利用シーンは社内を超えて、社外ワーク、協力会社や販売代理店のツール、お客様へ魅せるツールへと影響範囲が圧倒的に広がっています。

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これらの利用シーンはデスクワークとはまるで作法が違います。

社外で活躍する営業、接客、調査、作業員など、人とのコミュニケーションや作業を行っている人々には現場の一瞬一瞬が真剣勝負の本番です。スマートデバイスがなくても自分の腕前で仕事をしてきた人々なので、使い勝手が悪いツールを本社の意向で押し付けられても、業務に支障がでるばかりでいいことがまるでありません。

また、説明テクニック、説得シナリオ、場の緊張をほぐす小ネタ、臨機応変力、間合い、愛嬌、現場経験、などのノウハウや暗黙知こそが、その人の仕事力・現場力でもあります。アナログで仕組み化されていない領域が多い現場業務では、従来のソフトウェア開発のスタイルを当てはめようとしても、うまくいきません。

導入の旗振り役が立ち向かうハードル

さて、スマートデバイス導入をする際に、導入の旗振り役となる部署がシステム部門か現場部門かによりぶち当たる壁の種類が若干違うのですが、それぞれよく陥るパターンがあります。

システム部門が立ち向かうハードル

資産管理とセキュリティ
情報漏洩予防、盗難紛失対策、利用効果測定などに何よりも最優先で重点が置かれがちです。企業利用においてこれらが重要なのは間違いありませんが、ここから始めると本来の業務目的の足枷になってしまうことが多々あります。例えば、お客様に見せたい商品カタログがオンラインじゃないと見えないようになっていて、表示するのに時間がかかりお客様の購入決定の瞬間を逸してしまう、などは容易に想像がつきます。
目的と投資対効果
多くの企業ではすでにノートPCが一/solution/smartdevice/人ずつに配布され、メール、スケジュール、資料作成など、オフィスワークはそちらで十分にできている場合が多いです。そのため、同様のデスクワークを外出先でできるという点だけでは、投資対効果が証明しづらいのです。PCではやっていなかった他の業務や他の目的へスコープを拡大して、導入効果をしっかり狙う必要があります。
現場実態との乖離
スマートデバイスを押し付けられた現場からよく聞く声として「iPadでExcelやパワポの資料作成が大変です」とか「見積り作成がソフトウェアキーボードが使いづらくて大変です」などがあります。そりゃそうです。資料作成やタイピングをガシガシやろうとすると、全くスマートデバイスは相応しくなく、PCの方がよっぽど使いやすいのです。MS Officeでの資料作成などの業務は何も見直されず、スマートデバイスを配布しても、明確な住み分けがないと単にカバンが重くなるだけです。
アプリ開発パートナー
内製でスマートデバイスアプリを検討・開発するのは難しいし、取引先のSierはあまり乗り気じゃないし、ゲーム制作やウェブサイト制作会社じゃ企業向けアプリには心許ない、など開発パートナー探しが結構難しいものです。一度作ったら、その後のメンテナンスも含めて長期的なお付き合いになるだけに、ある程度実績があるところが良いけれど、パッケージアプリをそのまま入れても上手くいくイメージが湧かない。本腰を入れて一緒に取り組めるビジネスパートナー探しは容易ではありません。

現場部門が立ち向かうハードル

検討主体の決定
そもそもスマートデバイスはITツールとしてシステム部門の範疇なのか、現場主導の施策なのか?大抵は前者から始まり、しばらくしてうまくいかないことに気づき、数回の失敗の後に現場が必要に迫られて自分たちが主導で動くというケースは多いです。利用主体が現場なら現場主導で進めないとうまくいきません。
対象業務・目的の設定
局所最適リスク、孤立システムリスク。仕組みはつながりあうほどに効果と価値が高まります。スマートデバイスで取り組む業務も、それ単体よりも関連する業務とつながりあうことで価値が出ます。現場部門は自部署の業務範囲に注力しがちですが、部署を横断した業務プロセスとバリューチェーンを洗い出し、業務連携を強化することでよりうまく仕組みが機能します。
現場業務の見直し
営業現場などでは特に資料作成と見積もりがスマートデバイスで対応しようとするとネックになります。専用アプリを作ることも一つの手ですが「本当に営業がオフィスにいて、資料作成・見積もり作成に時間をかけていることが良いのか?」「もっと既存のお客様とは長期の計画を練ったり、新規のお客様とはどんどん接触頻度を高めたりすべきでは?」と本質的な部分まで踏み込む必要があります。
アプリ継続改善・コンテンツ継続作成
現場部門は一時的な利用はともかく、立ち上がった後の継続運用が不得意な場合があります。仕組みは何でも陳腐化したり形骸化すると価値が目減りしていきます。現場業務に常に最適化された状態を保つ運用の体制や進め方をしっかり準備しないと、長く使えるものになりえません。

では、どのように準備を進めると良いのでしょうか。気になる続きは、次回ご説明します。乞うご期待!