株式会社エディオン様

エディオングループの本部=店舗1万人を結ぶ新情報共有基盤として、INSUITE®Enterpriseを採用

エディオン
株式会社エディオン

日本各地に1,100店舗以上のネットワークを持つ業界2位の家電量販店グループ。『買って安心、ずっと満足』を経営理念に掲げ、良質なサービスを提供し続けている。

導入概要
導入時期
2005年10月
構築期間
約6ヶ月
利用規模
10,000CL(現在14,000CL)
導入のポイント
  • 大規模での実績と将来性への期待
  • 業態に合わせたアドオン開発で理想のシステムを実現
  • 改善プロジェクトで使い勝手の更なる向上

先駆的な事業統合・再編で知られる家電業界の雄、株式会社エディオンがグループの新情報共有基盤としてINSUITE®Enterprise(以下 INSUITE®)を導入してから5年、活用が進む同社に、改めて製品の選定、構築から利用までの経緯について、情報システム本部 情報システム部長 山本 健三氏、経営企画室 経営企画部マネージャー 鈴木 幸治氏、株式会社エヌワーク エディオンソリューション統括部 企画開発グループインフラ担当長 大田 秀憲氏、同インフラ担当 長谷川 久三氏にお話しを伺った。

統合成功の象徴

株式会社エディオン 情報システム本部 情報システム部 部長 山本 健三 氏 株式会社エディオン 情報システム本部
情報システム部 部長
山本 健三 氏

2002年、株式会社デオデオ(以下 デオデオ)と株式会社エイデン(以下 エイデン)が株式移転方式により株式会社エディオン(以下 エディオン)を設立。2005年に株式会社ミドリ電化、以降石丸電気株式会社、株式会社サンキューを次々に統合し規模を拡大。2009年には、グループ体制の更なる強化のために、店舗を展開する会社をエリアで統合し、西日本を株式会社エディオンWEST、東日本を株式会社エディオンEASTとした。また基幹システム統合が完了したことから、2010年10月にはエディオン・エディオンWEST・エディオンEASTが合併し、「デオデオ」「エイデン」「ミドリ」「イシマル」を展開する株式会社エディオンと、子会社として「100満ボルト」を展開する株式会社サンキュー、システム開発会社の株式会社エヌワークという体制になる。

2002年の統合が、新情報共有基盤の検討のはじまりだった。「グループ発足後、最初に取り組んだのは、本部機能、中でも収益面での効果に直結する仕入機能(『商品部』)の統合でした。当時、3社(エディオン、デオデオ、エイデン)は別々のグループウェアを使っており、仕入関連の指示の通達を出そうとすると3つのシステムへそれぞれ通達を送り分けなくてはならず、発信作業の負荷が非常に高くなっていたのです。」(鈴木氏)

また、本部の統合が着々と進む傍ら店舗から見ると、「これまで通りの看板で変わらずに営業しており、統合の実感がわかない。」という声もあがっていた。グループ全体の意識を統一していくためには、新たな、そして明示的なしくみが求められていた。検討開始のきっかけは『配信業務の効率化』ではあったが、根底には、『統合によるシナジー効果を創出するため、お互いの情報共有と意識合わせをしていきたい』という強い思いがあったという。

「統合を成功させるためのツールとして、全スタッフが使うINSUITE®は重要な位置づけでした。まずINSUITE®で情報基盤を統一することから始めました。」(山本氏)

INSUITE®選定の3つのポイント

1万人超の大規模安定稼働実績、豊富な機能と柔軟なアドオン
ー決め手は将来性

製品の選定において重視していた点をうかがった。

「(継続的な統合も見据えて)グループ全体10,000名超の規模で安定稼動するグループウェアが必要でした。INSUITE®は既に大規模での稼動実績があったことが大きかった。また、掲示板や文書ライブラリ(書庫)、本部向けにはスケジュールおよび施設予約など必要な機能を既に備えていたことも条件に合致していました。」(鈴木氏)

新情報共有基盤の導入にあたっては、各事業会社が使い込んでいたグループウェアについて利用状況、どの機能がどの範囲で必要なのかを詳細に洗い出したという。調査の結果上述の機能に加え、本部から店舗への業務上必要な連絡(通達)を管理する仕組みが要であることがわかった。業態の特性上、店舗への発信量は膨大で、細かな送り分け・見せ分けなど(システム上の)工夫が欠かせない。INSUITE®はパッケージ製品でありながら、固有の要件については『アドオン開発*1』で柔軟に対応できる点も高く評価された。

「最後は将来性を評価してINSUITE®に決めました。多くの製品の中の一つという位置づけではなく、ドリーム・アーツのメイン製品でしたので、力の入れ具合が違うだろうと。」(山本氏)

※1:アドオン開発:INSUITE®の製品本体には手を加えず、用意された数百のAPI(Application Programming Interface:他のシステムや機能と通信、連携、連動させるためのインターフェース)を使って、ユーザ固有の要望に答える開発を行うこと。製品を改変していないため、その後のバージョンアップもスムーズに行える。
株式会社エディオン<br>経営企画室 経営企画部 マネージャー<br>鈴木 幸治氏 株式会社エディオン
経営企画室
経営企画部 マネージャー
鈴木 幸治 氏

設計から利用定着まで

綿密な設計と強力なリーダーシップ

全国の店舗網、10,000名という規模のうえ、異なる企業文化の事業会社で一様に利用するため、現場で受け入れられずに形骸化してしまう恐れも十分あった。本当に現場に受け入れられるツールに作り上げていくために、過程でエディオンが行った活動について伺った。

キーマンの巻込み

「仕様の検討の際には、ユーザ側でよく情報を発信するリーダークラスを巻き込んで、意見を取り入れながら進めました。各社での旧システムの使い方、機能やカテゴリ、発信している通達のボリュームなどをヒアリングして、それぞれのいいところを取り込みながら作っていきました。」(長谷川氏)

情報基盤の統合(旧システムの利用停止)→連絡系統とルールの統合

「INSUITE®を導入したとき、『旧システムは半年後に止めます(実際には1年後)』と最初から通知し、並行期間を経て強制的に止めました。また、統合時に、『情報は会社を超えて共有しあう』、『(発信者:本部)店舗への情報配信はこのINSUITE®に集約する』、『(受信者:店舗)必ずINSUITE®を見る』ことをルールとして決めました。店長会議では、本当に定着するまで、『1日3回はINSUITE®を見なさい』と何度も何度も言い続けていました。ユーザからすれば、(旧システムを止めてしまうので)仕方なく使う。使い始めると、意外と便利だな、と思ってもらえて利用が進む。最初は強制にしないと、(慣れている仕組みの方が楽なので)なかなか変えられないものです。」(山本氏)

徹底したエンドユーザ視点:店舗で情報を探さなくてはならない状況をなくす

株式会社エヌワーク<br>エディオンソリューション統括部 企画開発グループインフラ担当長<br>大田 秀憲 氏 株式会社エヌワーク
エディオンソリューション統括部 企画開発グループインフラ担当長
大田 秀憲 氏

「接客で忙しい店舗の人に負担をかけないこと、(逆説的ですが)『情報を探さなくてはならない状況』をなくそうということを心がけました。店舗スタッフがログインするとINSUITE®のポータルの最上部に、自分の担当商品に関連するもののみに絞り込まれた『通達』が表示されており、業務で必要な情報はひと目で確認できる。店舗の人からは、情報の探しやすさが格段に良くなったという反応がありました。」(大田氏)

「業務に直結する情報が掲載されているので、社員でINSUITE®を開かない人はいない。また、発信側から見ても、周知のばらつきの心配がなくなった。」(山本氏)

導入後の改善活動 「ライブラリ改善プロジェクト」

現場での活用方法に合わせて分類方法を柔軟に変える

エディオンでは、通達という即時性を生かした情報配信手段(フロー)に加えて、長期間・繰り返し見られ、再活用される文書(ストック)の格納先である『ライブラリ』を同様に使い込んでいる。利用が活発になるにつれて顕在化した問題があったという。

「第1階層以外に特段の制限をかけずに公開したために階層が増殖し、文書を探すことが困難になってしまい、2009年の5月に『改善プロジェクト』を立ち上げました。統制のとれた管理を可能にする数に絞りこむため、新規登録に大幅に権限をかけ、本当に必要なものだけが登録されるようにしました。
さらに、検索性をあげるため事業会社別の分類を新たに設けました。統合の当初は、(統合の趣旨から)あえて事業会社に分類することを避け、部門別や商品別の分類のみにしていたのですが、事業会社によって営業方法や人事制度なども異なり、参照文書も違ってくる。現場での活用方法にあわせて分類方法を変えることで、検索時間が大幅に短縮されました」(鈴木氏)。

分類方法こそ事業会社別に変えたものの、通達と同様にライブラリでも機密情報以外は閲覧制限をかけず、会社を越えて自由に見ることができるようにしているという。『グループ内での情報開示方針”オープンであること”』という、”魂”を生かしつつ、ユーザの使い勝手と両立させることに成功している。

エディオンの『改善プロジェクト』は利用状況を見ながら、運用に柔軟かつ大胆に改善を加えていくことが、現場での活用を促進し続けるために欠かせないことを教えてくれる。

株式会社エヌワーク<br>エディオンソリューション統括部 企画開発グループインフラ担当<br>長谷川 久三 氏 株式会社エヌワーク
エディオンソリューション統括部 企画開発グループインフラ担当
長谷川 久三 氏

ドリーム・アーツへの期待

10,000名への利用浸透・促進という初期のハードルを越え、INSUITE®は、エディオンらしいシステムへと現在も進化を続けている。
選定から今般の改善プロジェクトまでを一貫して見続け、叱咤激励くださった山本氏は、大きな目に笑みをにじませて締めくくられた。

「INSUITE®は、エディオンにとってなくてはならないものになっています。INSUITE®を必ず見るという習慣は定着してきている。今後はVideo On Demandオプションで3ヶ月に1度トップメッセージを流すなど、もっともっと情報を流したい。これからもポータル型グループウェアの”最先端”を維持していってください。」

1-1 概要

環境変化とそれに伴う事業展開のスピードが劇的に加速する中で、『グループとしての一体感・グループシナジー創出』は脚光を浴びるキーワードであり、情報系システムへの期待も高まっている。

先駆的な事業統合・再編で知られる家電量販店業界の雄(事業規模業界2 位)エディオングループの成功の裏には、異なる文化を抱えた複数の事業会社、1,000 を超える店舗、17,000名を超えるスタッフを抱えた組織が、真に一体となって動くための情報活用のあり方への強いこだわりと綿密な運用、継続的な改善への取組みがある。

INSUITE® には、受信者の担当商品・役割に応じてフィルタリングし、必要なもののみを徹底して見せることで、グループ内に飛び交う通達や連絡を整理する『通達拡張』※1( 以下エディオン内の呼称「通達」)という機能がある。

この通達を駆使し、業務改革の効果をあげている、株式会社エディオン情報システム本部情報システム部長山本健三氏、経営企画室経営企画部マネージャー鈴木幸治氏、株式会社エヌワークエディオンソリューション統括部企画開発グループインフラ担当長大田秀憲氏、同インフラ担当長谷川久三氏にお話を伺った。

※1通達機能… INSUITE® の通達拡張( 宛先絞込み・アンケート)機能

1-2 課題

情報共有が”採算”に直結

エディオンは、事業統合の直接的な効果を創出するため仕入機能の統合を進めた。ただし、取扱商品はアイテム数が膨大で商品サイクルが短く、かつ他社動向をみながら価格やサービスを臨機応変に変えていく必要がある。情報共有を迅速・的確に行えなければ、欠品や発注過多に陥るリスクも倍増してしまう。

本部から店舗へは日に80 通を超える通達が発信されていた。売価・新商品のお知らせ、チラシへの掲載商品、店舗でのマーチャンダイジングや営業情報、品薄・欠品情報、リコール情報、さらには財務経理部からの棚卸や入金コードの説明、情報システム部からのシステムメンテナンス予定まで『店舗の運営に必要な重要情報は全て』である。 多くの情報を即時に流通させてきたからこそ、エディオンには情報過多による見落としを防ぐ『適切な見せ分け』の仕組みにこだわりがあった。

情報共有発信負荷の急激な高まりに本部が対応しきれない

「グループの発足時に最初に取り組んだのは、本部機能、中でも仕入機能(『商品部』)の統合だったのです。そこで顕在化したのが、事業会社への指示や通達を配信する本部側の業務負荷でした。当時はデオデオ、エイデン、エディオン3 社が異なるシステムを使用しており送り分けしなければならず、さらに、(一定期間掲示した後は削除される掲示板型や、新着が上位表示されるが過去分も蓄積されるDB 型など)システムによって周知の確度が異なっており、悲鳴が上がっていたのです。」(鈴木氏)

統合の実感、変革への意欲を喚起する全く新しい仕組みの必要性

事業統合の効果を最大化するためには、本部だけでなく店舗での業務をグループ共通の新ルール・新業務プロセスに乗せ替える必要がある。数千人規模の事業体同士の合併とはいえ、個々の店舗のスタッフにとってはこれまで通りの看板で営業をしており、” 統合の実感”が湧き難く、各社固有のやり方から”変わろう”とする意欲が生まれにくい。本部・店舗を問わず全スタッフがかかわる”明示的な、新しいしくみ(象徴)”を必要としていた。

事業統合前:各社別々のシステムを利用
事業統合前:各社別々のシステムを利用
事業統合直後:同じ指示・通達を3つのシステムに送付
事業統合直後:
同じ指示・通達を3つのシステムに送付
INSUITE® 導入後:全スタッフへ一斉に指示・通達を送付
INSUITE® 導入後:
全スタッフへ一斉に指示・通達を送付

1-3 活用の効果

店舗での周知度合いを100%、配信業務負荷を1/3に

「社員でINSUITE® を開かない人はいない。情報は公開されているので”見ない人が悪い”と共通認識ができあがっているので、周知レベルのばらつきの心配がなくなった。さらに、ツールの統合によって本部から店舗へ通達(重要な業務連絡)を発信する時間は、3分の1 に短縮されました」(山本氏)。

『既読率を上げる工夫』について敢えて伺ってみたところ、大田氏からは、「ログインすると必ずINSUITE®ポータルの最上部に、選択したカテゴリだけに絞り込まれた『通達』が表示されている【図参照】、そのようなしくみにした※2こと、そのものでしょうか。」とあった。

※2アドオン開発…INSUITEの製品本体には手を加えず、用意された数百のAPI(Application Programming Interface:他のシステムや機能と通信、連携、連動させるためのインターフェース)を使って、ユーザ固有の要望に答える開発を行うこと。製品を改変していないため、その後のバージョンアップもスムーズに行える。

ポータルログイン後の画面トップで絞り込み表示された通達一覧(イメージ)

画面イメージ

情報基盤の統合→連絡系統・ルールの統合 1万人の業務が真に変わり始める

「情報共有システムをINSUITE®で統一するところから始めました。メールもOutlookから移行し、ドメインも『エディオン』に統合しました。企業統合を成功させるためのツールとして、INSUITE® は重要な位置づけでした。」山本氏は、当時を振り返りこう語った。

もちろん、システムを入れるだけで課題が解決するわけではない。「『(発信者:本部)店舗への情報配信はINSUITE® に集約する』、『(受信者:店舗)全員必ずINSUITE® を見る』という相互参加のルール※3を決め、(事前告知の後ではありますが)強制的に旧システムを止めました。強制にしないと慣れている仕組みの方が楽なのでなかなか変えられない。でも使っているうちに『意外と便利だな』と思ってもらえて利用が進む」(山本氏)。改革の後戻りを許さないリーダーシップと、地道で粘り強い草の根の推進活動の重要さを物語るエピソードである。

受信者・発信者のルール※3

受信者から見た情報と機能の運用ルール
自分の該当する『カテゴリ』情報は常に最新の状態に更新しておく
個々人の空き時間を有効活用してINSUITE® の通達を見て、担当商品の最新情報を確認する
発信者から見た設定のルール
店舗へのメッセージには全て『通達』を使い、併用によって情報が分散してしまうことを防ぐ
全てのカテゴリを選択することは禁止
『緊急連絡』のカテゴリは、絶対見て欲しいものに限定して使い、乱用しない

2 オープンスタンスと周知徹底の両立 “圧倒的な表示数をコントロールする”

グループ方針:『情報はグループ内全体に公開』

情報システム部と経営企画部が共同で固めたエディオンのシステム統合の方針は、(人事情報や予算などの極一部を除いて) 『情報はグループ内に全て公開する、会社間での隠し事をしない』ということだった。

INSUITE® のライブラリや通達では、コンテンツの公開、更新・削除について詳細に権限設定を行うことができる。しかし、エディオンでは、機能を敢えて使わないという選択をし、グループ方針に従って事業会社を越えて自由に閲覧できるようにした。『オープンであること』という方針をシステム上にも具現化したのである。

組織再編による情報システム統合のステップ(エディオンの例)

組織再編による情報システム統合のステップ

徹底したエンドユーザ視点:情報を探さなくてはならない状況をなくす

各事業会社とも長い歴史を有し、システムもそれぞれカスタマイズして自社最適化されていた。情報システム部としては、『各社のツールを超える最善のものを目指そう、今までできなかったことも取り込もう』という挑戦でもあったという。「各社が発信していた通達のボリュームやカテゴリを細かく調べて必要な機能を洗い出し、また情報をよく発信するリーダークラスを巻き込んで意見を取り入れました」(長谷川氏)。

「店舗の人に負担をかけないことを心がけました。(逆説的ですが)『情報を探さなくてはならない状況』をなくそう、店舗の人は『通達』さえ見れば済むということを目指してカテゴリや開示範囲を工夫しました。実際、ツールが変わることで操作感の違いはあっても、探しやすさという点では前よりも良くなっているという反応がありました。」(大田氏)

フィルタ(開示範囲設定×カテゴリ)の考え方と設定画面

フィルタの考え方と設定画面 注:イメージであり、エディオンで実利用の画面・項目とは異なります

通達の氾濫を防ぎ、確実に伝える

旧システムの課題に「配信量が多すぎて、必要な情報が埋もれてしまう」という声が多かった。忙しい店舗では少しでも接客の時間を増やしたい。1 日80 通を超える通達から自分にとって必要な情報だけを、瞬時に確認できるようなシステムでなければならない。

INSUITE® は、大規模な組織での複雑な組織階層に対応した所属や役職についての情報を保持することができ【上図参照】、それらを組合せて、細かな送り分けを行う通達の『開示範囲設定』が可能になっている。すなわち、特定の商品の情報を受け取るべき人・組織を適切にグルーピングできれば、その人たちだけに配信することは可能だった。

しかし、この開示範囲設定のみで当初の目的をクリアすることは、①情報を公開するというグループ方針への抵触、② 1万人を越えるスタッフの商品担当状況などを本部で集中メンテナンスし続けることの2 点で難しかった。

そこでエディオンは、発信者の設定する大きなくくりとしての『開示範囲』(”会社”、”チェーン”、” 階層(全従業員・社員・所属長)”の3 つ)を用いつつ、受信者から見たフィルタの機能を『カテゴリ』としてアドオンすることでクリアした。

「カテゴリはタグ情報のようなもので、商品、地域、部署、など複数設定できます。店舗のリーダーやスタッフなど受信者側が『見たい商品のカテゴリ』などを予め登録しておき、発信者である本部がその通達の内容に相応しいカテゴリを選んで発信することで、ユーザがINSUITE® にログインした際に、担当の商品の通達だけに絞り込んで表示させます」(大田氏)。

情報を探す時間が省かれ、効率的に情報収集ができるようになった。また、一覧機能を使えば、カテゴリ登録外の全ての商品について参照することも可能になっている。

“絶対に見なくてはならない”情報のカテゴリ

メンテナンシビリティの関係上、エディオンはカテゴリの更新をユーザに依存せざるを得ない。発信者が絶対に見て欲しいのにユーザに見てもらえない、という状況は発生しないのだろうか?

「『絶対外せないカテゴリ』もいくつか作っています。例えば、リコール情報や緊急の売価(変更)連絡のように絶対見なくてはならない情報は、この『緊急連絡』で見せるように運用を徹底しています。」(大田氏)

既存システムと業務運用を熟知したメンバーによって、様々なケースを想定して作り込まれ、セーフティ・ネットがしっかり用意されているのである。

3 運用とテクニック

必ず見る、見せる

エディオン内では、「通達は必ず見なくてはならないルールです。業務に直結する内容なので見なくては仕事にならないし、本人が困る。とはいえ、情報が膨大になれば見落としが発生するリスクも高くなります。表示数をどれだけ減らせるかに苦労してきました。」(鈴木氏)

工夫の一つとして、掲示期間の短縮がある。通達は個別に掲示期間を設定でき、先の日付での登録も行える。発信者は公開(掲載開始)時期を気にするが、終了時期はあまり気にせず初期設定のままにする傾向があった。この傾向を利用して、システム上の設定値を1週間に短縮した。長期間掲示し続けることを防ぎ、全体量を圧縮できた。

また、見せる工夫として、一覧表示上で重要な通達の色を変えているという。「発信する際、所属長(店長・副店長)にチェックを入れると、受信者側では黄色に表示されるようになっています。これは、所属長にしか送っていない情報なので、『あなたが見なかったら、他の人は見ませんよ。必ず見てください!』という警告の意味を込めています。」(鈴木氏)所属長が所管する店舗スタッフ人数が多く、かつ時間に追われる業態ゆえのきめ細かな設定といえる。

注目度のコントロール

通達は基本的に新着順に表示される。時間が経過した通達は押し下げられ、掲載期間内であっても画面内に表示されなくなることがある。

「運用の工夫として、既発信の通達(の掲示期間)を更新して再度最上部に掲示させて注目を促すことがあります。例えば、催事に関する通達を開催決定時に一度発信し、開催直前にアラートとして再掲示するなどがこれにあたります。」(長谷川氏)

“役割に応じたID付与”が可能にする隙間時間の最大活用

「店舗スタッフには、『朝の仕事開始時と、2時間おきに必ずINSUITE® にログインして通達をチェックするように』指導しています」(山本氏)。本部からは日に何度も最新の情報が発信され、スタッフは接客の合間に、店内の数カ所に設置された共有PCにさっとログインして情報を取得する。

エディオンでは、店舗でも1スタッフ1アカウントを持っており、契約社員やパートナー社員など契約形態が異なっても、役割によって情報を受け取る必要がある人には全てアカウントが発行されている。それによって、空き時間に『絞り込まれた担当商品等の情報だけを一目で確認する』ことを可能にし、PC に向かう時間を最小限に抑えることができているという。

基幹システム切り替えという大イベントを側面から支援

エディオンではここ数年間で基幹システムの更改を行った。1,000を超える全国の店舗ももちろんその対象である。店舗単位に切り替えを行うため、移行時の手順などについて指示・説明のため通達を発信した。突発・集中的なアクセスでポータル運用メンバーは本当に大変だったが、メールなどのように埋もれることなく、受信者に確実に届くことを確信できるツールの意義を改めて感じたという。

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