現場からドライブする「働き方改革」フォーラム
現場からドライブする「働き方改革」フォーラム 開催レポート

現場からドライブする「働き方改革」フォーラム ~働き方改革の本質に迫る、仕組み・仕掛けづくりの秘密~

日時
2017年5月25日
会場
ベルサール半蔵門

2017年5月25日(木)、ドリーム・アーツと東洋経済新報社で「現場からドライブする『働き方改革』フォーラム」を、東京・千代田区にて共催いたしました。現場の徹底した仕組み化による企業価値向上に取り組む良品計画の金井政明氏、ドリーム・アーツ社外取締役の遠藤功氏をお招きし、現場からドライブする働き方改革の本質に迫りました。

大盛況のうちに終了した本フォーラムの様子をレポートします。

講演
良品計画 代表取締役会長の金井政明氏

良品計画(MUJI)が体現する
「働き方改革」の秘訣
社員にとって良い会社─企業理念を中心に据えた「役に立ちたい」経営

  • 良品計画 代表取締役会長
金井 政明 氏

「社員にとって良い会社」を目指し、「2017年版 日本における『働きがいのある会社』」ランキングでトップ10にも入る良品計画の金井政明氏は、「思想と理念に共感すれば、仕事は生活のためだけではないことに気づけます」と述べ、社員が生産性の高い働き方を実現するためには企業理念の共有が重要であると話しました。

無印良品は、1980年に消費社会へのアンチテーゼとして生まれました。当時の日本は、資本の論理が優先され、「売るため」にモノが本質から離れていた時代。無印良品は、そのような状況への批評を内側に含むものとして、「無印」という立場に「良品」という価値観をつけて誕生した概念です。
良品計画は「役に立つ」という大戦略の下、繊細で丁寧、調和の取れた「感じ良いくらし」を体現する製品を生み出し、提供し続け、「生活が美しくなれば社会は良くなる」と考えています。

2000年代初めに「大企業病に取りつかれ、思想が薄まった」結果、危機を迎えましたが、下記を始めとする取り組みにより、風通しの良い組織への建て直しに成功しました。

  • 毎日の朝のあいさつ、掃除など「当たり前のことを徹底する」ことから企業風土の改革に着手。
  • 業務基準と手順を「基準書」で明文化し、常に改訂し続ける。
  • 良いことはダブル(倍)、無駄はハーフ(半分)という視点で取り組むWH運動。
  • 社員のスキルを見える化し、中長期的に必要なスキルを伸ばす人材育成委員会。
  • 高い定時退社率で働きやすく「安心してチャレンジできる会社」の実現。
  • 会長、社長に反対意見を述べることをルール化した会議の開設。

高齢化、人口減が進むこれからの日本では「過去の手法は役に立たないが、人の役に立つことは考えられる」という金井氏は、地域の課題解決活動=「土着化」にも力を入れる。地域のために献身する人々から刺激を受けた社員が、サラリーマン意識を変える教育効果にも期待しながら「現場を主役に据えて大切にし、全員で『良心とクリエイティブ』を実践する風土と仕組みをグローバルに発展させる会社」を目指す意気込みを語りました。

今後の課題と方向性として、無印良品が50才となる2030年には、「唯一の資産である 思想と人が社会の役に立っている」、「高度成熟化社会で『感じの良いくらし』が全国津々浦々まで浸透し、なくてはならない企業になっている」など、さらなる具体的な施策やビジョンを語り、締めくくりました。

講演
ドリーム・アーツ 代表取締役社長の山本孝昭

「働き方改革」を現場からドライブする、
次世代ソリューション「知話輪」

  • ドリーム・アーツ 代表取締役社長
山本 孝昭

良質なアナログ時間を創出するためのITというコンセプトを掲げるドリーム・アーツの山本は、本質的な働き方改革の実現には「根本の生産性・仕事そのものがカギを握る」と指摘し、そのためには「良質なアナログ時間の創出」が必要である、と語りました。また、働き方改革は、現場からドライブすることが必須。現場に良質なアナログ時間を創出することで働き方改革は実現できる、と加えました。そのために取り組むべきテーマとして、モバイルツール活用による

  • 意思決定の在庫削減
  • すき間時間の有効活用
  • 社内メールの削減

といった業務のやり方の効率化に加え、業務そのものを見直す

  • 業務の断捨離
  • 人と業務の新結合

の5つを挙げました。

ドリーム・アーツは、これらの課題解決を目指したクラウドサービス「知話輪(ちわわ)」をリリース。メールに代わるコミュニケーションツールとして、時間軸で整理したビジネスチャットを搭載、情報だけでなく“意識”レベルの共有も目指します。ビジネス・チャットのタイムラインを中心としたチームの意識共有の場に、さまざまなシステムが連携することで業務が連鎖し、意思決定の在庫も大幅に削減されるということを強調しました。社内に広く仕事の停滞をもたらしかねない、稟議決裁の滞留=意思決定の在庫を削減するため、すきま時間で手軽に承認できる仕組みや、滞留した決裁の処理を促す仕組みを備えました。コグニティブ・エージェント「チェロ」との自然な対話を通じて、的確な情報を適切なタイミングで通知・リコメンドする業務支援機能もあり、意思決定の迅速化やメール数削減には速効性の高い成果が得られます。しかし、改革の本丸は「業務の断捨離」と「人と業務の新結合」である、と山本は強調。本丸に集中するためのアナログ時間を「知話輪」を利用することで創出できると述べました。「業務の断捨離」は働き方改革の“一丁目一番地”であり不可欠な土台。そして「人と業務の新結合」により、新たな価値が創造されると強く訴えました。

講演
ローランド・ベルガー会長、ドリーム・アーツ社外取締役の遠藤功氏

これからの「働き方改革」の論点と課題~働き方改革は仕事改革。ムダ・過剰にメスを入れる~

  • ローランド・ベルガー会長
    ドリーム・アーツ社外取締役
遠藤 功 氏

良品計画の社外取締役も務める遠藤功氏は、金井氏の講演を受けて「高い生産性の大前提は、社員の目が輝いていること。しかし、日本の会社には価値や意味のない仕事が多すぎる」と述べ、放っておくと、仕事は肥大化、個別化、陳腐化するため「継続的な断捨離をしなければ、生産性は永遠に高まらない」と「仕事改革」の必要性を訴えました。

仕事改革のポイントには、意思決定の滞留の撲滅、ムダな仕事の撲滅、過剰な品質・サービスの撲滅――の3つを指摘。
1点目の意思決定の滞留の撲滅に関しては、以前に比べ、経営トップの意思決定は早くなったと感じるが、そこに至るまでの根回しなどに中間管理職が時間をかけ、決定を遅らせているとして、ミドルの仕事のやり方を変えるべきと指摘しました。成功事例として、3児の母であった30代女性を人事部長に登用し、彼女自身の経験に基づく判断によって、時短勤務の年限延長や管理職の休日増など着々と改革を進めたケースを紹介。トップが、人事や評価によって社内に覚悟を示す重要性を強調しました。

2点目のムダな仕事の撲滅は、仕事を「付加価値を生む」「付加価値は生まないが必要」「明らかにムダ」の3つに大別。人によって考え方が異なるムダについて共通認識できるよう、ムダとは何かをきちんと定義すべきとしました。

3点目の過剰の撲滅については、対価も得られないのに、顧客は喜び、さらに勤勉、真面目な現場も良かれと思っており、さらに過剰が評価される雰囲気もあるため、特になくすことが難しい。品質やサービスについて、個別に判断せず、明確な基準・ポリシーを定め、それに基づくオペレーションを徹底することを求めました。また、「経営」「管理職」「現場」の3つのレベルで「過剰」にメスを入れなければ成功しないということも指摘しました。

付加価値のない業務は、まず排除を検討し、それができなければ統合、代替、簡素化の順で対処するECRS(改善の4原則Eliminate / Combine / Replace / Simply)の手法や、仕事を科学(計測、可視化)するアプローチなど、具体的な業務見直し法にも言及。会社は「生きている会社(alive)」と「死んでいる会社(dead)」の2つに大別されるとし、「仕事の断捨離は、人と仕事をつなぎ直して生産性を高め、新たな価値を生み出す『新結合』に向けた第一歩。『生きた会社』を取り戻してほしい」と呼びかけました。

講演後の質疑応答で、生産性向上に向けた現場業務の定量分析について問われた遠藤氏は「現場に手間のかかる定量化を求めるのは、やらされ感からのスタートにならざるを得ない」とした上で「やったら変わったという成功体験を積みあげるしかない。人の採用が益々困難となる状況下では、仕事の断捨離をやり続ける愚直さが大事」とアドバイス。ホワイトカラーの仕事の付加価値は計測が難しいという質問には「企画管理は人が多すぎると生産性が下がる。人の断捨離も検討すべき」と指摘しました。

会場の様子

ドリーム・アーツは、お客様からのお声を大切にし、信頼していただける企業を目指します。
これからも、お客様、パートナー様との「協創」を推進してまいります。