第三回 IT活用による現場からの協働革新セミナー

第三回 IT活用による現場からの協働革新セミナー 『見える化』の本質と実現

【Co-Innovation:現場からの協働革新】を掲げたセミナーも今回で3回目。これまでの反響から、まさに、企業競争力の維持・向上に『現場力』が必要だという認識が拡がっていることが感じられます。今回は、更に踏み込んで『見える化』がテーマです。

基調講演には、前回のセミナーで大好評だった遠藤功氏を再度お迎えし、『見える化』の本質について、豊富な事例を元に語っていただきます。また、IT活用による現場革新の最新事例として、NRIデータサービス様よりご講演いただきます。

このセミナーが、必ずや皆様の現場革新の一助となるものと確信しております。皆様の奮ってのご参加をお待ちしております。

セミナー概要
日時
2005年11月17日(木)13:30~(13:00開場)
会場

大手町サンケイプラザホール

東京都千代田区大手町1-7-2

■地下鉄:丸ノ内線・半蔵門線・千代田線・東西線・都営三田線大手町駅下車A4・E1出口直結

■JR:東京駅下車丸ノ内北口より徒歩7分

定員
400名(無料)
主催
株式会社ドリーム・アーツ
後援
株式会社東洋経済新報社
協力
  • 日経メディアマーケティング株式会社
  • 株式会社アドバンスト・メディア
  • 株式会社HOWS
  • スカイウェイブ株式会社
タイムテーブル
13:00
13:30

受付

13:30
13:40

開催挨拶

13:40
14:30

基調講演
株式会社ローランド・ベルガー取締役会長 早稲田大学大学院 教授
遠藤 功 氏

14:30
15:20

講演
株式会社ドリームアーツ 取締役 製品企画開発本部長
前川 賢治

15:45
16:30

最新活用事例
【新世代協業型業務支援システム ひびき®】の活用事例

NRIデータサービス株式会社ユビキタスプロジェクト室 室長
前小野 喜代志 氏

16:30
16:40

閉会挨拶

基調講演

『見える化』とIT -最新著書「見える化」出版記念講演-

  • 株式会社ローランド・ベルガー 取締役会長
    早稲田大学大学院 教授
遠藤 功 氏

基調講演では、前回の第二回「現場からの協働革新」セミナーでの講演が大変好評だった、ローランド・ベルガーの取締役会長で、今年10月に最新著書『見える化強い企業をつくる「見える」仕組み』を出版された遠藤功氏にご登壇いただきました。

「見える化」は問題を包み隠さずに見せること

強い組織経営を実現するキーワードとして、最近、「見える化」が取り上げられるようになりました。その背景にあるのは何でしょうか。

遠藤氏は、強い企業には、会社の存在意義をあらわすビジョン、そして、具体的な価値を生み出すための競争戦略、そして、それを実際に遂行するオペレーション(=現場)の3要素が、均整のとれたピラミッド構造を成していると指摘します。

「特に、企業規模に関わらず、共通して見られるのが、強い現場を持っていることです。骨太で合理的なビジョン・戦略と、二律背反する問題をみずから発見して解決しようする強い現場力が両輪となって、強い経営が実現しているのです」。

遠藤氏は「強い現場」を実現するための条件のひとつに、あらゆるものが見える仕組み、つまり「見える化」をあげます。

「見える化」の原点は、トヨタの「アンドン」です。アンドンとはトヨタの各工場の生産ラインに吊り下げられた掲示板で、工程や機械の稼動や停止状況をランプで工場全体の誰もが分かるようにした仕組みです。

「どこの現場でも、問題は日夜発生します。肝心なのは、問題が起きたという事実を、現場の責任者などが、担当職場のどこにいても把握できること。悪い情報など、見たくなくても目に飛び込んでくる『見せる化』の仕組みこそ、『見える化』なのです」。

見せるためには、シグナルが遠くからでも分かるように大きく、できるだけシンプルにする必要があります。私達の身の回りにも、『見える化』の例はたくさんあります。たとえば、信号や道路交通標識、または野球のスコアボードなどが一例です。

「野球のスコアボードには、イニングごとの点数やヒット数、エラー数、打順、ポジション、ストライクカウントなどの情報が端的に集約され、選手をはじめ観客の目にも否が応でも飛び込んできます。この仕組みがあるからこそ、次にピッチャーがどのようなボールを投げるのか、バッターはヒット・エンド・ランやスクイズを狙うのか、といった様々な分析や予測が可能になるのです」。

仮に、このような見える仕組みがないと、企業経営では何が起こるのでしょうか?

競争力強化につながる問題解決のトリガー

遠藤氏は「見えている会社は、問題や顧客ニーズなどが可視化され、利益や需要を的確に創り出すことができますが、見えていない会社は何をしても空回りだけで問題解決に至らず、競争戦略が成功する確率も低下します。それどころか小さなミスなどが大問題に発展するリスクを抱えることになります」と述べます。

ところが、多くの企業で実際は「見えていない」ケースが多く見受けられます。たとえば、自分自身の業務上の問題、隣に座る同僚の悩み、ベテランといわわれる人の知恵、工場や営業所が抱えている問題、お客様の本音などです。まして、都合の悪い情報や現場の異常、守秘性の高い情報、属人的な情報など、”見せたくないもの”や”見せられないもの”はなかなか表に出てきません。遠藤氏は「企業活動は突き詰めると『問題解決活動』といえるでしょう。裏返せば、問題や異常がタイムリーに見えれば、問題が大きくなる前に早めに解決できます。しっかり見えることは、競争力になるのです」と述べます。

トヨタや花王といった現場力の強い企業における、「見える」ようにするための執念はすさまじいものがあるといいます。

「売れた分だけ生産するというSCMにおいても、製造部門が『多めに作ったものを売るのが営業の手腕だ』という押し込みの考え方ではダメ。ある企業では、不良在庫を削減するため、営業所にある工場在庫をすべて工場に戻すなど、徹底した見える化に取り組んでいます」。

もちろん、断片的な「見える化」では、問題を見過ごす恐れがあります。遠藤氏は、現場からも経営側からも進捗ステータスなどが見渡せる、システム化された「見える化」の構築が必要と説明。さらに、問題解決にあたっては、「Problem-finding(問題発見)」⇒「Display(組織での見える化)」⇒「Clear(問題解決)」⇒「Acknowledge(確認)」というPDCAサイクルを現場で回すことが重要だと述べます。

見える化には「業務」「人」「IT」の連携したプラットフォームが必要

具体的に「見える化」による現場力の強化には、「業務」「人」「IT」からなる3つの連携したプラットフォームが必要と遠藤氏。「ただし、ITプラットフォームについては、現場の目線に徹すること。あくまでも主役は現場であり、ITは支援の道具に過ぎません。アナログとデジタルをうまく使い分けるのもポイントです」と述べ、情報のJIT(Just-In-Time)化や、個々の現場や個人ニーズに合わせたパーソナライズ、機能変更が行えることをツールの必須条件にあげました。

「見える化では、まずはじめに『見えていない』という認識を前提に、現状の棚卸しからスタートすることです。『見えている』という思い込みは非常に危ない。それから、本当の勝負は『見えた後』の問題解決にあること。これらを念頭に置いてください」と強調し、講演を閉じました。

講演

『見える化』を促進する
DAソリューションの今後

  • 株式会社ドリーム・アーツ
    取締役 製品企画開発本部長
前川 賢治

ドリーム・アーツ(以下、DA)では、現場力強化の条件となる「見える化」を、ITプラットフォームの側面から徹底支援。情報とコミュニケーションの整流化を図り、現場の「創造性密度」を高めています。その具体像や今後のソリューション戦略について、弊社で一貫して製品開発を牽引してきた製品企画開発本部長前川賢治が解説を行いました。

情報とコミュニケーションを整流化し現場の創造性密度を高める

「10年近くにわたって、実務現場からの経営革新をITで支援することを主眼に製品を開発してきました。近年はとりわけ、情報の氾濫とコミュニケーションの洪水が大きな問題となっています。そこで、情報とコミュニケーションの整流化と、現場の創造性密度をいかに向上できるかをテーマに開発を進めてまいりました」と前川は述べます。

その中核となる製品が、ビジネス・コックピット型のeサービス統合プラットフォーム「INSUITE®Enteprise(以下、INSUITE®)」です。「INSUITE®」は現在まで累計66社に導入されており、16万という膨大な累計クライアントライセンス数を獲得。大規模な組織・企業を中心に導入されています。業種も幅広く、土木・建設、製造、流通、サービス、情報・通信と広範であり、様々な業容に応じた柔軟性や拡張性をはじめ、大規模な人事異動などにも対応できる優れたメンテナンス性も発揮します。

「導入もスピーディです。たとえば1万2千人がログインする福岡県庁のシステムは、2~3カ月ほどで構築を完了しました。パッケージの根幹に手をつけるカスタマイズではなく、オプティマイズ・サービスとアドオン開発のみにより、現場に適した環境を構築できます。そのため、短期間での導入が可能になっています」と前川は説明します。

また、金融、政府・自治体など非常に高いセキュリティが要求される業種でも採用実績を伸ばしています。今年11月には民営化に備えた日本郵政公社における日本最大の企業情報ポータルとして採用されました。

「ひびき®」に協業型データベース「Sm@rt DB」が新たに追加

「INSUITE®」を基盤とするDAのソリューションは現在も進化し続けています。Co-Innovation Suite「ひびき®」シリーズや、パートナー企業各社のユニークなソリューション群と連携し、様々な経営課題を解決するべく拡充が図られていると前川はいいます。

Co-Innovation Suite「ひびき®」シリーズは、「INSUITE®」に対して付加される業務アドオン・パッケージ集です。「お客様は『INSUITE®』を基盤にし、必要に応じて様々な『ひびき®』シリーズを追加、現場における細かいノウハウや知恵などを、オプティマイズとアドオン開発によって盛り込み、利用者にあった形で最適化することが可能です」。

「ひびき®」シリーズには今回、リアルタイム営業支援ツール「ひびき®SALES」と現場型プロジェクト支援ツール「ひびき®PROJECT」に加えて、協業型データベース「ひびき®Sm@rt DB(スマートDB)」が新たに追加されました。

蓄積した情報の活用を主眼に置き、使い勝手やセキュリティを確保した上で、必要な情報が素早く取り出せる、企業情報のフロントエンドシステムです。ノーツやAccessなどの簡易データベース・ソフトの弱点である、データベースの横断的な検索機能などを大幅に強化しているのが特徴です。

「さらに近い将来、多拠点マネジメントを支援する『ひびき®Multi-bases』や、他店舗マネジメント支援の『ひびき®STORES』、CRM支援の『ひびき®CRM』などのリリースを予定しています」と前川は開発方針を述べます。

様々なパートナー企業が提供するユニークなソリューションとも連携

さらに、独自性の高いパートナー企業の製品群との組み合わせによる最新のソリューションも続々登場する予定です。。前川は実演を交えながら紹介を行いました。

株式会社インビオ様のeラーニング・ソリューション「一日一問」シリーズは、日々接するポータルのログイン画面上にQ&A形式の問題を表示することができます。たとえば、業界に精通する弁護士が作成した良質な問題を解きながら、対応が急務となっている個人情報保護法を確実にマスターすることができる仕掛けを構築できます。また、ポータル上には、最新ニュースなどを電光掲示板のように表示できる縦型チェッカーも取り込めるようになります。

また、スカイウェイブ株式会社様のVoIPソリューションとの連携により、テレビ会議システムなどのソフトウェアベースのコラボレーションツールを組み込むことが可能になります。社員に会社用の携帯電話を支給することなく、個人所有の携帯電話での公私の課金振り分けができるコールバック機能や、サーバへの通話ログ保存や電話番号の登録・ダウンロードによって携帯端末のセキュリティが強化されます。

さらに株式会社アドバンスト・メディア様の音声認識技術を活用した携帯電話ソリューションでは、出先での営業連絡や日報作成を、文字入力の代わりに音声入力で簡単に実現。携帯電話をポータル化することで、営業活動のクオリティがさらに高まります。

株式会社HOWS様は、ブラウザ組み込みの標準技術のみを活用するAjax技術を応用し、ポータル画面上のデータのドラッグ&ドロップによる直感的な移動などを可能にしました。これにより、「INSUITE®」製品群の操作性をより高めることに成功しています。

最後に前川は、「DAでは情報のJIT(Just-In-Time)化やパーソナライズ化など、徹底した現場志向のソリューションを開発してきました。これからも現場に使ってもらえることを常に考えた製品の開発を進めていきます」と意気込みを語りました。

ドリーム・アーツセッション

EIP導入によるワークスタイル改革 -新世代協業型業務支援システムひびき®の活用事例-

  • NRIデータサービス株式会社
    ユビキタスプロジェクト室 室長
小野 喜代志 氏

業務効率化とサービス向上を目指す日本郵政公社では、全国2万4千拠点、利用者7万3千人規模という、日本最大の企業情報ポータルを構築。その基盤にドリーム・アーツの製品を採用しています。この導入に際してプロジェクト統括を担当したのがNRIデータサービス株式会社様でした。導入事例では同社のユビキタスプロジェクト室室長小野喜代志様が、社内事例を交えつつ、競争力強化につながるワークスタイル改革と企業ポータルの関係性、企業ポータル導入を成功させるコツ、近年の新しい潮流などについて説明を行いました。

ワークスタイル改革による企業革新と持続的な成長

全社的なERP導入や生産現場の革新などに一段落をつけた日本企業が、いま取り組もうとしているのが『オフィス環境の革新』です。すでにいくつかの大手企業を中心に、フリーアドレスやペーパーレス化をキーワードとしたバーチャルワークスペースの構築事例が出始めています。「ワークスタイル改革は、価値創出と受注拡大、コスト削減による競争優位の確保という経営課題に直結し、企業革新と持続成長に資する手段です」と小野様は解説します。より具体的に、企業が持続的な成長を遂げるためには、「コンプライアンス対応を踏まえて、コラボレーション(協働)とクリエーション(創造)を促進する『ナレッジの共有』が不可欠」と指摘します。

多くの企業では現在、社内における情報の氾濫やセキュリティの不安、2007年問題に代表される属人的なノウハウの継承、組織的かつ継続的な知識創造や意思決定の実現などの悩みを抱えています。小野様は、これらを解決する、体系化された情報やノウハウ、すなわちナレッジの共有を実現する上において、企業ポータルが有効だと述べます。「ワークスタイル革新を進める企業においても、グループウェアやナレッジデータベース、EIPの導入が共通して見られます」。

NRIデータサービス様でも、今年4月から段階的に、「INSUITE® Enterprise」、「ひびき®SALES」、「ひびき®PROJECT」を導入しました。従来まで活用していたNotesやExchange、サイボウズなどのグループウェア、さらには営業管理やプロジェクト管理、顧客管理などの各システムを統合・整理する情報インフラが必要だったためです。

選定の理由は、「ドリーム・アーツの基本ポリシーが顧客と共に成長することであり、顧客の要望を積極的に取り入れて製品開発を行っている点。当社NRIデータサービスも、情報システムの構築から運用までを総合的に提供するシステムマネジメント会社としてお客様の複雑な経営ニーズに応える必要があり、開発しやすいパッケージ製品は大歓迎でした」と小野様は述べます。

INSUITE®によるコスト削減と価値創出効果

同社では社内への導入に先立ち、INSUITE®によるコスト削減効果を試算しました。スケジュール調整やメールでの情報検索、会議室予約などのグループウェア機能を使うだけでも、一人あたり一日5分間の時間が節約できると考えられ、一人月のコストが100万円の場合、一カ月間で一人あたり約1万円のコスト削減になることが分かりました。グループウェアを500人で使用すると500万円。年間の削減額は6000万円にのぼります。

「ナレッジマネジメントに関する欧米の調査では、組織における多様性の度合いが高いほど、新しいアイデアが生まれやすくブレークスルーが起こりやすいという指摘があります。様々なナレッジを結びつけることによる、価値創出という面でも企業ポータルの導入は重要視しました」と小野様は述べます。

企業ポータルの導入にあたっては、一貫した情報戦略が必要であり、戦略に沿ったシナリオを作るべきだといいます。「ノウハウや有用情報を発信させるための環境づくりが重要で、その際、大きな課題となるのは『人』に関わる問題。具体的には、動機付け、評価制度、暗黙知の扱いです」と話します。その解決例として、プロジェクトごとにベストプラクティスをデータベースに登録している某コンサルティング・ファームの事例をあげ、登録によってコンサルタントの存在が社内認知され、次の支援依頼につながるインセンティブが働くケースなどを説明しました。

目指す方向は管理された分散カジュアル環境

ほかにも導入を成功させる主なポイントとして、「トップダウンの推進体制」「マネジメント層、エンドユーザー、社内システム運営チームといった『現場』を巻き込むボトムアップの協力」「導入後の管理・運用体制の整備」などが必要だったと小野様は述べます。「EIPはあくまでもプラットフォームであり、ナレッジを持ち、ナレッジを活用する社員一人ひとりがワークスタイル改革の主役です」と強調します。

近年同社では、社内の書類や書籍にRFID(無線ICタグ)を付け、資料のやり取りや社員間の知識移転を記録、Know-Whoネットワークを可視化する実証実験などを通じて、企業ポータルをさらに高度化する応用研究にも注力しています。また、ブログやソーシャル・コンピューティングなどの新しい潮流にも着目しています。「EIPは進化し続けるものであり、目指す方向は管理された分散カジュアル環境。企業の持続成長と価値創出、コスト削減に欠かせない社内インフラになっていくはずです」と小野様は述べます。

NRIデータサービス様では、こうした社内導入事例をはじめ、全国2万4千拠点、利用者7万3千人という日本郵政公社におけるEIP構築で培ったノウハウと経験をもとに、ドリーム・アーツとの緊密に情報共有も図りながら、今後ますます複雑化するお客様の経営課題を解決していくことが期待されています。