経営変革フォーラム
経営変革フォーラム:JALの劇的V字回復を支えた社員の意識改革 開催報告

経営変革フォーラム:JALの劇的V字回復を支えた社員の意識改革 開催報告

日時
2013年2月5日
会場
東京コンファレンスセンター品川

2013年2月5日、東京コンファレンスセンター品川にて ドリーム・アーツ主催『経営変革フォーラム』を開催いたしました。多くの方にお集まりいただき、盛況のうちに終了したフォーラムの様子をレポートいたします。

オープニングセッション:開会の挨拶
山本 孝昭

大転換期を迎えるエンタープライズITの今後

  • 株式会社ドリーム・アーツ 代表取締役社長
山本 孝昭

今、組織・企業は新たなパラダイムに直面しています。How(どうやるか)ではなくWhat(何をやるか)が勝負を決める時代、あらゆる境界線が薄れボーダレス化、突発的で急激な環境変化、そしてICTの爆発的な普及。これまでのような、安定・成長・秩序を前提とした“戦略重視+管理重視”のやり方は、立ち行かなくなっています。これからの時代に必要なのは、“リーダーシップ+現場力”です。やってみなければわからない時代、まさにJALのV字回復のように、強いリーダーシップ、理念、想い、現場力が必要になっているのです。ITも、現場の行動や「やろう」という想いに貢献するものでなければなりません。

最後にFour-ションという造語をご紹介します。これは、ICTのI(Information)とC(Communication)に、EmotionとPassionを加え、感性、想いも共有するという意味です。我々は、 Four-ションを大事にし、お客さまとの対話を通して課題解決ソリューションを提供してまいります。

お客様セッション1
佐藤圭一郎氏

JAL再建を支えた「両輪」

  • 日本航空株式会社 IT企画本部 IT企画部 部長
佐藤 圭一郎 氏

JAL再生にあたり「IT」を軸に経営的側面から陣頭指揮をとられた佐藤氏にご講演いただきました。

経営破綻からの再出発

2010年1月、会社更生法適用を申請、企業再生支援機構による支援が決定しました。更生計画による構造改革は、「ゼロベースからすべてを見直すプロセスだった」といいます。それぞれのパーツが取捨選択され、不採算路線の廃止、子会社の整理、大型機の退役など事業構造の変革や、経営管理体制の変更、また人事/賃金/福利厚生などの制度も変わりました。ITについても、老朽化・複雑化したシステムを整理しつつ、エアラインビジネスの競争のなかで戦っていけるものに作り変えることが求められました。多くの仲間が去っていき、マスコミからは様々な情報が聞こえてきます。残った社員は会社や自分の将来に不安を抱えていました。そんななか、稲盛氏がCEOに就任。JALに経営管理手法として『部門別採算制度』、経営哲学として『JALフィロソフィ』が持ち込まれたのです。「まさにこの2つが、JAL再建の取り組みを支えた『両輪』となりました」と佐藤氏は強調します。

部門別採算制度では、各部門が採算面で経営に貢献する意識を強く持つことが求められました。「従来は、担当の仕事を全うすることだけに意識が向き、それにどれだけのコストがかかってどれだけの価値を生み出せているのかといった意識が希薄なところもありました」と当時の様子を振り返ります。組織の最小単位で利益管理をしてPDCAサイクルを回していくこと、自ら目標・計画を立て、それを実現するために努力することを学びました。

JALフィロソフィは、JAL社員が目指す姿が40項目ほどシンプルな言葉で書かれています。従来はそれぞれの部門がそれぞれの判断基準となるものさしを持っていました。それが、フィロソフィによって「JALグループ全員が共有する一つの価値観を得た」といいます。JAL再生の道を歩むなかで、気持ちをひとつにしてお客さまに接することの大切さを改めて心に刻みました。2011年3月、会社更生手続が終結。2012年9月に再上場を果たし「やっとスタート地点に立ちました」。

JALを 社員を 元気にするための取り組み

JALを、社員を、元気にするため、「トップと社員」「また社員同士」の相互のコミュニケーションの改善に取り組みはじめました。ITの切り口では情報共有ツールの再構築が大きなテーマになりました。そこで重要視したのが“パートナー選び”でした。JALと一緒になって考え、行動してくれるパートナーを求め、ドリーム・アーツを選択。「熱さ」を評価いただいたそうです。こうしてINSUITE上で完成したJALのポータルには、“部門別の採算状況”、“JALフィロソフィ”、“JAL共通の目標「定時性世界一」へ向けた指標”、“お客さまの声”などの情報(ポートレット)が並んでいます。

INSUITEを基点にした今後の取り組み

最後に今後の取り組みについて「JALの強みである現場力を、グループ全体の推進力にしていきたい」と話します。現場で生まれた工夫を業務プロセスに組み入れる仕組み、基幹業務システムのデータを有機的に活用する仕組みなど、ドリーム・アーツと組んでの新たな展開に意欲をみせてくださいました。

総務と現場をつなぐキーマンたちの闘い ~
“情報は会社の血液” ~ポータル刷新で取り組んだ三位一体の改革とは~

お客様セッション2
佐々木敬氏

イントラネット再構築の経てきた道 その取り組みについて
~Long Long Winding Way~

  • 日本航空株式会社 IT企画本部 IT企画部 経営サポートグループ マネジャー
佐々木 敬 氏

JALグループのイントラネット再構築に至る経緯と、新情報共有ツールの選定、ポータルの設計方法などついてお話しいただきました。

再構築前のイントラネットは、複雑化、老朽化など、多くの課題が噴出し、さらにルールと管理体制が不在であることが問題を深刻化させていました。再建の取り組みのなか、JALグループ社員の「ベクトルを合わせる」ため情報共有の重要性を再認識。イントラネット再構築プロジェクトでは、従来の反省を活かし、 主管部門となった総務部とともに、ツール(システム)、ルール、ガバナンス(体制)の三位一体で取り組みました。ツール選定ではユーザ部門の意見を重視し、評価が高かったINSUITEに決定。ポータルに掲載する情報の選別や掲載位置の割り当て、カテゴライズの区分まで、情報オーナー全員で討議を重ねました。徹底した事前準備と三位一体の改革が奏功し、現在も整然と利用されています。今後も継続したメンテナンスと、さらなる活用促進を進めていきたいと考えています。

お客様セッション3
垣田健一氏

イントラネット再構築における情報整理の取り組みについて

  • 日本航空株式会社 総務本部 総務部 マネジャー
垣田 健一 氏

「情報共有の主管部署」となった総務部が、どのように情報の整理を行ったのか、また、旧システムからのコンテンツ移行の取り組みについてお話しいただきました。

まず最初に行ったのは、イントラネット上の情報を実際に見て確認することでした。当時5500サイトにもなっていたコンテンツを全て確認したところ、半分以上が継続利用に「?」がつく状況でした。そこで、権限の適正化、コンテンツの整理・棚卸を決意して全社に宣言。ガバナンス(体制)構築にとりかかりました。まず、情報をジャンル別に分類して情報オーナーを配置し、権限を委譲しました。また、コンテンツは最低限必要なものだけを移行するという方針を決め、ユーザ自身に判断を促しながら、段階的な『断捨離』を実施。こうして絞り込んでいったところ、最終的には旧システムの1/3に削減できました。こうして整理された情報は、IT部門と協力してポータル上に掲載するものを選定し、「現場ユーザに過不足なく伝えられる」状態になりました。経営や現場からの生の情報が、従来あまり接することがなかった部署にまで行き届いています。今後もアンケートやヒアリングで現場のニーズを吸い上げていきたいと思います。

ラウンドテーブル 現場インタビュー
現場のための情報共有に日々苦心する情報オーナーたち

JALグループポータルの運用に携わる現場のキーマン達に、その思いと取り組みをインタビュー形式で伺いました。(インタビュアー:株式会社ドリーム・アーツ)

現場インタビュー1
柿元 美香氏

“シンプルに見やすく” かつ ”見落としがないよう” にする工夫

  • 株式会社JALスカイ 羽田事業所 総務部運営グループ
柿元 美香 氏

JALスカイは、羽田・成田空港のカウンター、搭乗口のお客様サービス、空港のオペレーション業務を行っています。グランドスタッフは、お客さまに、正しい情報を短い時間で伝えることが必要です。また、共有のPCから情報を得る必要がありますので、いかにシンプルに見やすく表示するか、また見落としがないようするかを考えました。例えば、必ず見てほしい情報は、ポータルの最上部にあるWhat’s Newというポートレットに掲示する、なるべく少ないクリックで必要な情報にたどりつけるようにする、などの工夫をしています。

ポータルができてから、他の会社でどのようなことが起こっているのかを知ることができるようになったのが大きいです。お客さまの全体の動きや流れを把握して、仕事に活かすようにしています。情報発信側の担当になって当初はとまどいましたが、IT部門に何度も質問するうちに絆ができてきました。その他の部門とも協力して仕事ができるようになり一体感が強まったと感じています。

現場インタビュー2
柿元 美香氏

慌しい現場には「インパクトある表示」で目立たせる

  • 日本航空株式会社 オペレーションコントロールセンター 企画部 企画・人財育成グループ
芳賀 康二 氏

OCC(オペレーションコントロールセンター)では、フライトの監視、運用を行っています。 OCCは24時間交代制で運航判断をする組織なので、常に緊張感を持って勤務しています。ポータル作成では、属人的な運用になるのを避けたかったので、誰にでもわかりやすいようにシンプルにつくりました。特にマニュアルが多い職場なので、必要なマニュアルがすぐに見つかるようインパクトがある表示で目立たせています。ポータル上では、運航便の情報や、気象情報などがすぐに参照できるように工夫しています。利用が浸透してからは『こんな事例があったので共有します』など、社員自身が業務のヒントなどを自主的に登録するようになりました。もちろん、誰でも見れるように掲示しています。他にも、運航のタイムテーブルを調整する者どうしで運航便組み換えのアイデアを情報交換するなど、いろいろと活用されているようです。今後もさらに充実させていきたいと思っています。

ご参加企業様の声(アンケートより抜粋)
  • 経営変革に関するプロジェクトを行ううえで、どのような体制で、どのように進めていけばよいのか具体的なイメージが持てていなかったので、とても参考になりました。
  • JALフィロソフィを策定して、それをイントラを活用して社内浸透を図る点が興味深かったが、策定経緯や浸透における阻害要因などの話も聞きたかった。
  • やはりトップの熱い想いが一番であることと、それを伝えて全社員が共有することの大切さを再認識した。
  • ホワイトカラーや部内最適に寄りがちな情報発信の思考を、現場優先とし、ブレずにやりとげた事をとても素晴らしいと感じました。

本フォーラムは、大盛況のうちに終了いたしました。
お申し込みをいただきました多くのお客様に御礼申し上げます。

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