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第4回ドリーム・アーツエグゼクティブカンファレンス

第4回 ドリーム・アーツ エグゼクティブカンファレンス持続可能な戦略 ⇔”Organism”<有機主義>

日時
2016年7月21日(木)
会場
ウェスティンホテル東京

2016年7月21日(木)、「第4回ドリーム・アーツ エグゼクティブカンファレンス」を、ウェスティンホテル東京にて開催いたしました。今年のカンファレンステーマは「持続可能な戦略⇔”Organism”<有機主義>」。特別講演には2020年東京オリンピック「新国立競技場」設計で話題の建築家 隈研吾氏にご登壇いただきました。また、基調講演には、現場力の第一人者で、ドリーム・アーツ社外取締役の遠藤功先生にお話しいただきました。大盛況のうちに終了したカンファレンスの様子をレポートいたします。

会場様子1
ドリーム・アーツ セッション
山本孝昭

オープニングセッション

  • 株式会社ドリーム・アーツ 代表取締役社長
山本 孝昭

根っこのある木

本日のテーマは「持続可能な戦略⇔”Organism”<有機主義> 」です。このテーマを考えた時、まず「根っこのある木」をイメージしました。テクノロジーが爆発的に発展し蔓延し始めた現在、同時に大きな不安も出てきました。ITが“電気”のようにあらゆるモノやコトに浸透し不可欠なものになり始めており、あらゆるテクノロジーが急速にコモディティ化しています。

この状況を先ほどの木に表すと、木の上側、つまり「テクノロジー」に期待しすぎた結果「極端に根っこが小さい木」になっているのではないかと 感じたのです。テクノロジーへの過信は禁物です。

根っこのある木

“いわくつき”のプレゼント

さて、本日は私にとっての宝物を持参しました。私がインテル株式会社在籍中に会社から配られた“いわくつき”のプレゼント。当時プロセッサー回路の不具合が社会的に大問題になった際、社長であったアンディ・グローブからこのプレートが社員全員に送られました。それにはこのようなメッセージがありました。

ダメな会社は危機で潰れ、良い会社は生き残り、偉大な会社はそれにより向上する。

アンディ・グローブ 1994年12月
アンディ・グローブ アンディ・グローブからインテル社員全員に送られたプレート インテルはしっかりと「根」を張った有機主義的な企業

「持続可能な戦略⇔”Organism”<有機主義>」

不具合対応で大混乱の中、失敗しても全社をあげてやり遂げる。全社員にそう呼びかける。私は、その執念と覚悟と情熱に衝撃を受けました。インテルはブランド戦略に優れた会社でスマートなイメージがありますが、実は非常に泥臭く、しっかり「根」を張った有機主義的な企業です。インテルはその価値やカルチャーを浸透させるためにかなりの時間をかけ、地道な努力でじっくりと「根っこ」に対する投資を大事にしている会社です。

時間をかけることで獲得できる「言葉に出来ない何か」、人と組織の感性・直感・イマジネーション・信念・価値観・文化の<性根>が大切だと考えます。IT大転換期の今こそ、「テクノロジー」とバランスを取るために、この「根っこ」が大事なのです。その思いから「持続可能な戦略⇔”Organism”<有機主義>」を今回のカンファレンステーマにしました。

特別講演
隈研吾

持続可能な戦略
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”Organism”<有機主義>

  • 隈研吾建築都市設計事務所 主宰
    東京大学 教授
隈 研吾 氏
2020年東京オリンピック「新国立競技場」設計で話題の、世界を舞台に活躍する建築家 隈研吾氏にご講演いただきました。

建築における「有機主義」とは

現在、建築に関しても「有機主義」の流れが大きくなっています。建築における「有機主義」とは、単に有機的なやわらかい形をしているものではなく、建築物そのものが環境全体の一部になること。環境全体のシステムを考えたものが本当の「有機主義」だということを強く訴えたいのです。
私が今まで設計してきた建築物を例にして「有機主義」とは何か、を説明させていただきます。

宮城県石巻市「北上川運河交流館」

北上川運河交流館

宮城県石巻市「北上川運河交流館」は、環境の調和を目的として北上川の土手に埋蔵されたミュージアムです。建築の三分の二が土手に埋もれており、一見建築がどこにあるかわからないように設計されており、地形と建物を有機的に連続させた作り方になっています。建物自身が回りの環境と自然に融合する。それが有機主義なのです。

栃木県那須郡「那珂川町馬頭広重美術館」

栃木県那須郡「那珂川町馬頭広重美術館」は、かつてその土地の人間のインフラであった「里山」にもう一度人間が目を向けるように、建物の中に穴を開けて、里山と町をつなぐように設計。材料には里山の木、その土地の和紙と石を使用。ローカルな循環と地域のコミュニティを再生させる試みです。

那珂川町馬頭広重美術館

新国立競技場

法隆寺五重塔 法隆寺五重塔 新国立競技場外観イメージ 新国立競技場外観イメージ

そして、「新国立競技場」。「有機主義建築のシンボルになれば」という思いで設計を開始しました。明治神宮の森を主役にし、自然と調和させるために、高さを49mに抑えました。ヒントは、1400年間その構造を維持している日本の木造建築「法隆寺」です。外側はもちろん木製で、その下にひさしで影をつくり、そこに緑を植えた外観に。

電力も太陽光で賄い、エアコンを使わず自然の風が通り抜けるように設計しました。そして木材は福島や熊本など被災地のものを使用します。「日本の新しい技術を総動員した有機主義建築」を世界に示したいという思いで取り組んでいます。

基調講演
遠藤功

今、経営において大事なこと

  • 株式会社ローランド・ベルガー 会長
遠藤 功 氏
現場力の権威である遠藤 功氏に、経営の観点から「Organism<有機主義>」についてお話いただきました。

経営観点からの「”Organism”<有機主義>」

有機主義を反映させた経営とはどのようなものでしょう。変化が激しく持続可能性が厳しい今、私たちにとって考えなくてはならないものです。私が考える「経営において大事なこと」は3つ。

  • 大戦略(グランド・ストラテジーを描く)
  • 自律分散型組織への転換
  • 戦闘能力の強化

不安定な時代だからこそ、「大戦略」を示し、本社が牛耳らず、「現場」に権限を移譲する。そして、戦闘力である現場力の強化。これらが大事だと考えております。

路線廃止の危機から復活した「五能線」

有機主義的な根っこの強さを感じる現場力の事例として、「五能線」を紹介させていただきます。今では人気の秋田と青森を結ぶ「五能線」も、25年前は過疎化が進み、大赤字で路線廃止の危機に。「生活路線」から「観光路線」へ方向転換したものの、「五能線なんて誰も知らない」「予算もない」状態。

でも「できるところから始めよう!」と、全員で知恵を出し合いました。古い客車を自分達で改造した「ノスタルジックビュートレイン」。絶景ポイントをゆっくり楽しめるよう、運転士は徐行運行。また「津軽三味線生演奏」や、運転士や車掌が「なまはげ」に扮し、乗客を迎えることも。これら現場の必死な取り組みにより、「五能線」は年間10万人以上が乗車する人気観光列車になりました。

五能線物語 『五能線物語「奇跡のローカル線」を生んだ 最強の現場力』遠藤功 著

根っこの強さである「最強の現場力」

五能線を復活させたのは「カリスマ経営者」ではなく、まさに根っこの強さである「最強の現場力」でした。ここに「有機主義的な経営」のお手本があると確信したのです。「骨太で合理的なビジョン」と「問題解決する強い現場力」の2つの両輪がうまく回った時に、初めて「有機主義的な経営」となり、「持続可能性」が実現します。有機主義的な経営を復活させ、経営者が主役ではなく、現場の1人1人がオモテ舞台に立つような経営を進めていきましょう!

ドリーム・アーツ セッション
石田健亮

協創・協育する仕掛けづくり

  • 株式会社ドリーム・アーツ 取締役 CTO
石田 健亮

「協創と協育」の仕掛けづくり

ドリーム・アーツは今まで「協創と協育」の仕掛けづくりに一貫して取り組んでまいりました。ITは「電算化」、「OA化」の時代を経て、90年代後半からコンピュータがネットワークで繋がり、ただの道具からコミュニケーションツールへと進化してきました。2016年現在、ITそのものがサービス化の時代です。

「やってみなければわからない」からこそ「まず実践が大事」

当社の「Shopらん」は”多店舗向けに業務のベストプラクティスを提供する”というコンセプトのクラウドサービスですが、これを作る過程で学んだことがあります。最初は「仮説をたて、実践し、結果を検証する」のセオリーどおりに開発を行いました。しかしうまくいきませんでした。実際にお客様の現場を見て、会って話を聞いて、アイディアを具現化してフィードバックをもらう。これに勝るものはありません。「やってみなければわからない」からこそ「まず実践」が大事なのです。サービスを持続させ、成長させるためには、「持続可能な失敗」が非常に大切です。これはまさに「Organism=有機主義」。生物はトライ&エラーを繰り返すことで変化し、環境に適応します。我々が学んだことは生物の進化と同じ事でした。

お客さまと共に育てる「協育」

まずは小さくサービスインし、現場で鍛えられ、現場と共に、お客様と共に大きく育てていく。これを我々は「協育」と呼んでいます。協創と協育を実現するドリーム・アーツはこれからも、お客様の現場に飛び込み、現場で働く人々に会い、一緒にビジネスを創り、それを共に育てていきます。是非、お客さまの会社でも「協創と協育」を実現して、持続する価値の創出に一緒に取り組んで行きましょう!

懇親会
懇親会

懇親会では、まず初めに、第1回カンファレンスにて登壇いただいた、冒険家・プロスキーヤーの三浦 雄一郎様よりご祝辞をいただいた後、エディオン代表取締役社長 久保 允誉様による乾杯のご発声で、懇親会が始まりました。ギターの生演奏を聴きながら、皆さまご歓談とお食事を楽しんでいらっしゃる様子でした。

続いて、広島県知事 湯﨑 英彦様よりビデオメッセージを頂戴しました。メッセージには、ドリーム・アーツ設立20周年のお祝いのメッセージと、弊社の広島本社に対する熱い期待のお言葉を頂きました。他にも、友人代表として内閣府 地方創生推進室参事官 村上 敬亮様、昨年のカンファレンスで講演いただいた和紙クリエイター 堀木 エリ子様より御祝辞をいただきました。

最後に弊社取締役の小河原より締めの挨拶にてお開き、その後もお客さま同士で情報交換をされている姿が見られました。100社以上のお客さまにご参加いただき、盛大な会となりました。

ご参加企業様の声(アンケートより抜粋)
  • カンファレンステーマ”有機主義”の考え方にとても共感しました。ゆっくり大きく根を張って協調する組織を志向していくことが変化の中で継続して成長していくうえで必要だと思った。
  • 新しい”buzzword”が次々と出てくる中で、あらためてビジネスの幹として大切なことを見直す良い機会になりました。ありがとうございました。
  • 隈先生のお話は徹底的にご自身の作品を紹介することによって、圧倒的な説得力がありました。カンファレンスは初参加でしたが大変面白かったです。

次回もご来場をお待ちしております。〜ドリーム・アーツ一同〜