ベネッセコーポレーション様
一度挫折したCRM活用、失敗に学び顧客の声を活かすシステム

- 株式会社ベネッセコーポレーション
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- 設立
- 1955年1月28日
- 従業員数
- 2,842名(2012年3月末時点)
1955年創業以来、学校向け教育事業や通信教育事業などを中心に拡大し、1995年に社名を教育の「福武書店」から、「Benesse=よく生きる」を企業理念とした、ベネッセコーポレーションに変更。人の営みを軸とする総合企業へと進化を遂げた。現在では、国内教育、海外教育、生活といった領域で事業を展開している。
一度挫折したCRM活用、失敗に学び顧客の声を活かすシステムへ
ベネッセコーポレーションでは2006年、VOCを事業に活用するため、大規模なCRMパッケージの導入に踏み切った。しかし、情報蓄積に多くの時間が割かれるなど、現場の業務効率はかえって悪くなるという事態を招いていた。そこで同社は、VOCの活用に本腰を入れるためにも、CRMの刷新を決断する。一度は失敗を味わった同社が、その経験を活かして選んだソリューションとは?
“顧客の生の声”を正確に掴み、事業にフィードバックしていくことが重要
グループ内で「国内外の教育」と「生活」の事業領域を担うベネッセコーポレーションは、合計385万人の会員数を有する通信教育講座の「こどもちゃれんじ」「進研ゼミ」や、日本全国の90%の高校で採用されている模擬試験の提供、月間発行部数32万部の妊娠/出産/育児雑誌「たまごクラブ」「ひよこクラブ」の発行などを手掛けている。
こうした各事業に対応するコールセンターの運営を行っているのが同社のカスタマーコミュニケーション部だ。顧客との直接的な接点を持つ部門であり、「顧客の声」(VOC:Voice Of Customer)を収集、分析する役割も担っている。
その部長を務める北川美千代氏は、「顧客接点となるチャネルは電話以外にも、メール、Web、FAXなど多岐にわたります」と、顧客とのコミュニケーションがますます複雑化する現状を指摘した上で、次のように語る。
「お客様の生の声を聞くことができるのは、コールセンターにかかってくる電話が中心。それをどう活用し、事業に反映していくかが非常に重要な鍵を握ります」(北川氏)
同部署に所属するコールセンターは、東京/大阪/岡山/北九州の4か所にあり、合計席数は約950で窓口オペレーター数は常時2500名、入電件数は、年間で実に400万件以上にものぼる。400万件は膨大だが、コールセンターは人と人とのコミュニケーションであることを忘れてはいけないと北川氏は言う。

カスタマーコミュニケーション部
部長 北川 美千代氏
「例えばお客様が『分かりました』と言って電話を切られても、本当に理解していただけたのか、あるいは不承不承、分かったと言われたのかは、人にしか分かりません。後者の場合には不満として捉えるべきです。それをオペレーターがきちんと掴んで、事業にフィードバックできるようにしていくことが非常に大切だと考えています」(北川氏)
失敗の教訓を活かし、新たなVOC活動に着手
VOCを非常に重視しているベネッセコーポレーションだが、今のように充分活用できるようになるまでは、かなりの紆余曲折があったという。
- 2006 CRMパッケージ導入
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さかのぼること2006年、“顧客の声を活用して事業を変革していく”ことを目標に掲げ、当時の経営方針として、コールセンターの改革を目指して大規模なCRMパッケージを導入。
- 情報を蓄積。しかし…
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「そこから全窓口でお客様の声を記録していくという取り組みを始めました。しかし蓄積した情報を『何のために活かすのか』が明確になっていなかったため、 お客様の言うことをただ闇雲に入力するだけになっていました。結果、窓口一人当たりの顧客対応時間は延び、逆にコストがかさむという状況を招いていたのです」(北川氏)
過大なシステム投資をしたにもかかわらず、成果が出ていない段階で、トップダウンで指示をした社長、幹部が交代ということになり、巨大なCRMシステムと、各事業部の懐疑的な態度、現場の徒労の回路という状況が取り残された。
- 2008
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こうした、まさにどん底の状況から、数々の反省点を踏まえ、2008年から改めてVOC活動の改革に本腰を据えることになる。
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一度は失敗したVOC活動改革を、成功に導いたポイントは何だったのか?この記事の続きと、別冊「年間400万件の『顧客の声』と向き合う、ベネッセの顧客コミュニケーション戦略とは?」の事例をご覧いただけます。
事例目次
- 「顧客との絆」を育むことが重要な経営課題に
- オペレーターが感じたお客様の「息づかい」を共有する
- 「紙帳票」による顧客対応が抱えていた明らかな問題点
- システムによる「声の可視化」が可能にした顧客起点の事業展開
- 「Sm@rtDB」だからこそ実現できた生産性の高い開発基盤
- 適用範囲を広げ、さらなる顧客コミュニケーション進化を目指す